たかがリスク、されどリスク。リスク管理の重要性を再確認しよう
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日本人は、リスクに対して楽観的?
「悪いことは起きない」
「このままでは不味いが、当面大丈夫」
日本人は総じてリスクに対して楽観的と言われています。これは、戦後、危機やリスクに対してどう向き合うかの教育を敢えて避けて来た結果である、と指摘する人もいます。
会社・職場においてもリスク管理は不十分です。「何故、こんなことが起きるのか。一体どうなっているのだ」......この結果を受けて、「リスク管理を再強化します」「リスク管理のための人材を補強します」と多くの会社が釈明します。要は、リスク管理が疎かなのです。
新任管理者研修のテーマについても見てみましょう。「管理者心得」「労働基準法」「人事評価の方法」などはテーマとして取り上げられるものの、「リスク管理の方法」については取り上げられません。
ビジネスパーソンには攻めと守りの2つの能力が必要です。前者の能力は入社したときから鍛えられています。管理者に昇進した者に対して、後者の能力を備えさせる。これも疎かです。
リスク管理は、大きなリターンをもたらす
リスク管理では、起こり得るリスクを先ず洗い出し、その中から予防すべきリスクを選定します。そして、この選定されたリスクに対して発生予防策や発生時の損害軽減策を立案し、組織内に展開して、当該リスクの悪影響を軽減・防止します。
社会が多様化・複雑化する中で、ESG関係など新たに考慮すべきリスクは拡大しています。これらのリスクをしっかりと掌握・管理し、会社のリターンを最大化する。この点の認識が先ず、重要・不可欠なのです。
リスク管理を強化することは決して "コスト" ではありません。リスク管理を強化するだけでも、会社には大きなリターンがもたらされます。
とある会社の成功事例、生じたリターン
以下は、とある会社の顧客注文(法人向け事務用品)受付・処理センターでの出来事です。
ある時以降、お客さまからのクレームが多発するようになりました。「今回もまた遅配だ。商品が期日に配送されない。これでは私どもの業務に支障をきたす」というクレームです。
何故、クレームが多発するようになったのでしょうか? 翻って、これまでクレームが発生しなかった理由は一体どこにあったのでしょうか?
第一に「以前は、お客さまからの注文が比較的少なかったため、人手だけで十分管理ができたこと」、第2に「優秀な管理者が一人いて、彼女が顧客注文への対応をしっかりと管理していたこと」です。
ところが、顧客注文が急速に増えて、人手だけでは回らなくなり、優秀と評価された管理者の管理スパンも限度を超えてしまったのです。
そこで会社は即座に対応しました。同センターに "顧客注文管理システム" を導入し、誰が何をチェックするのか、問題が発見された時どのように対処するのかをルール化し、センター内に展開しました。この結果、お客さまからのクレーム発生を見事に解消させたのです。
実は、同システムの導入効果はこれだけではありませんでした。
同センターの係員が忙しさから開放された結果、残業時間は皆無となり、係員の定着率も大幅に向上。新人の採用・教育負担も軽減し、その上、センター人員を2割削減することが出来たのです。
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以上から明らかな通り、リスク管理が疎かであると、リスクが表面化し、その修復に多大な時間とコストが掛かります。社員も疲弊します。
一方、リスク管理がしっかりと構築・運営されていると、無駄な時間やコストが大幅に削減され、社員が前向きな仕事に専念できます。組織は活気に満ち、この中でプラス効果の連鎖が起きます。
リスク管理が存在するか、存在しないか。両者の違いは絶大です。正に、たかがリスク、されどリスクです。
皆さん、リスク管理の重要性を再認識し、その強化に取り組まれてみては如何でしょうか。
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