ENERGY vol.02(2020年夏号)掲載
PICKUP
アフターコロナに活躍する強いリーダー
評価された"拘泥しない"リーダー
今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応において高く評価されたリーダーには、いくつかの共通点が見られました。それは、専門家に頼るべきところは頼りつつ、自らの責任のもとで速やかに決断を下し、余計なことに拘泥することなく、原理原則に沿って優先順位にもとづき行動するという、ある意味で定石ともいえるふるまいでした。
これは、ビジネスの世界にも当てはまるもので、危機に際しては、「平時」とは異なる「非常時」の思考モードに切り替えることがいかに重要であり、またいかに難しいかをあらためて認識させられたように思います。
危機対応の3つの段階でやるべきこと
「非常時」は、実は大きく3つの段階に分かれます。
まず、今まさに危機に瀕している状態が「危機の最中」であり、その後、危機が一旦去った状態である「危機の直後」が訪れ、さらにその先に「危機後の新たな未来」がやってきます。それぞれの段階は、医療現場の表現を借りるならば、危機の最中が「止血」、危機の直後が「治療」、そして危機後の新たな未来は「体質改善」に例えることができます。
危機の最中に求められる多面的に"リスクを想像する力"
危機対応は初動で成否が分かれるといわれますが、コロナ禍においても、初動が遅かった地域ほど感染が深刻化したのは明らかでした。
この初動での素早い動きは、リーダーが危機を危機として捉えることができなければ叶いません。そのためには、「リスクを想像する力」と、「情報に対する高い感度」、「危機と恐怖を分けて考える冷静さ」の3つが必要です。
そして、危機を感知した後のスピーディな判断と行動が重要になってくるのですが、ここでリーダーが直面するのが、判断・行動に対するまわりからの「異論」や「批判」です。
こうした逆風と戦いながら、正解の見えない中で自身の選択を信じて進めていく精神的なタフさが、この局面におけるリーダーには求められるのです。
危機の直後のリーダーに求められる"ドライ"さ
危機が一旦過ぎた後も、非常時は続きます。
危機の直後における最大のテーマは、すみやかに「元に戻すこと」となります。ここでリーダーに求められるのが、「事実を正しく捉えること」と「理詰めで策を導き出すこと」です。過少でも過剰でもなく、事実ベースで冷静に現状を見つめ、必要な手を打っていくことが、結果的に最もダメージを押さえた再興を実現することになります。
また、この時に同時に持っていなければならないのが、「再興しても元の〝水準〟には戻らない」という諦観です。その前提で「前よりも少ないリソースの投入で再開する」「全てはできない前提で優先順位をつけて着手する」といった、現実的な物事の進め方が必要となるのです。
リーダーが描き示す"危機後の新たな未来"
危機の後に眼前に広がるのは以前からは一変した世界です。
ここでリーダーに求められるのは、変化した世界を「大局的に捉える力」と、そこから未来の新しい世界を「イメージする力」です。
さらに、そこから新たな世界を構築していくうえで求められるのは、自分の思いを主観的に語り、まわりを「感化していく力」や、それを実行するための協力者を作る「巻き込む力」です。
このように、変化した世界に対して絶望することなく、新たな世界を前向きに描いて見せることもまた、強いリーダーに求められる重要な要件なのです。
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本コラム掲載号の記事一覧
2020 SUMMER
Vol.02 リーダー渇望
Vol.02は、組織の新たな未来を描いて実現に導く「リーダー」がテーマです。アフターコロナ・ウィズコロナ時代、組織が生き残るためには、環境変化への即応や最適化が急務となっています。特に主体的に判断し、行動できる強いリーダーの存在こそ、危機を突破する力になります。
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2024 SUMMER
Vol.14 使えるアセスメント
vol.14は「アセスメント」がテーマです。 人的資本経営の注目により「人」の価値を引き出すことが重視されるようになりました。 客観的に評価・分析することができるアセスメントを活用することで多様な人材が活躍できる人事戦略に役立てることができます。 本誌では、採用、管理職育成など様々な場面でのアセスメント活用方法についてご紹介しております。