折々の風情にあふれた四季の国日本は、いつの間にか二季の国日本に近づいているようだ。冬だというのに暖かい日には子供たちや外国人の半袖姿も見かける。衣食住、季節に従うより気温に応じる時代なのかもしれない。今日はまた一段と寒くてマフラーに顔を埋める。
11月23日、勤労感謝の日。一昔前、家庭内の役割分担が明確だった時代なら「お父さん、いつもありがとう」と感謝した日だ。今は少子高齢化の中、男女共同参画・一億総活躍社会が提唱され、加えて雇用や経済の不安・個人の自立への希求から女性の就労人口が増えている。女性の社会進出進展に伴い男性の家事参加率も高まり、家事請負業も広まってきた。
とは言え、心遣いを伴う名のない労働、家政の中心はやはり女性であることが少なくない。家事労働の賃金換算にはいくつかの計算法があるが、総務省や厚生労働省の試算では1日7時間勤務としても、賃金月額はおおよそ30万円。コストがかかっている家事労働の負担が偏りやすいのは、家庭という組織の中で周知標準化されていない家事が属人化されているせいでもあるのだろう。個々の家庭の事情を差し引いても、「お父さん・お母さん、いつも本当にありがとう」なのだ。
■よくあること
小さな社会、家庭で再現されていることは、大きく世の中で行われていることの象徴的な縮図でもある。現にビジネスパーソンの多くが、以下のような疑問を抱えている。
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■いずこも同じ
それぞれの事柄は組織を揺るがすような大事件ではないが、小さな疑問や消化不良・不都合が従業員や顧客の眼に見えない「安心」「信頼」「自信」などを少しずつ阻害している。
これでいいと思っている訳ではないが、大事件ではないので何となくいつも通りになる・殊更に表面化させて波風を立てる言い出しっぺになりたくない・どこでも同じ、少しの不満や我慢は当たり前・そのうち誰か何とかするだろう・自身の業務が忙しくて改善を考えられない......などさまざまな本音が背景にありそうだ。組織の実利や個人の成績に直結しないことはしなくても責められないし、別に優先すべき大義名分があるからではないか。
家庭も組織も似たような悩みを抱えている。自分の大切な居場所なのに、まるで他人事のように考えてしまうと、状況は改善されない。
確かに、あまりに几帳面が過ぎる日常・イレギュラーを許さないルール・容赦ない一方的な監視は、非人間的だし効率もよくない。不協和音も反発も招きかねない。新しい発見も独自の発想も生まれにくい。簡単そうだが、改善は実に難しい。
だが、心理的安全性を前提に不具合情報を共有して、みんなの暮らしを快適にするため、「みんな力を貸して」と声をかけて、みんなで取り掛かれば早く快適になる。誰かの我慢や犠牲・不利益に甘えて改善するのではなく、みんなが分担すればより良い解決が可能なのではないか。というのは、机上の夢のような話だろうか。結局、「~~だったらいいのに」を空論にするかしないかは自分次第なのだ。
2024年11月25日 (月) 銀子