前回は、Why型質問に対する解答を自分で考え、様々な可能性をあげたら、それを整理していくというところまでご紹介しました。今回は、整理のポイントと「説得のために論理をどう使っていくべきなのか?」についてお伝えします。
ロジカル・シンキングの極意(3)
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.MECEを使うときは、重複や漏れがないように配慮しながら要素の切れ目を考える。
2.まずは自由に発想し、その後にそれを伝える段階で論理を使うと良い。
- ■MECEの考え方の基本
- 整理のテクニックとしてのMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)の基本は、重複や漏れがないように配慮しながら要素を挙げ、説明しようとしている対象にアプローチしていくことにあります。
- あなたが上司から「我が社も成果主義を導入しようと思うが、そのメリットとデメリットとをまとめてくれ」と指示されたとしましょう。その際には、重複や漏れがないように要素に分け、成果主義の我が社への導入の功罪についてまとめていかないといけないのです。
- ■要素の切れ目を考える
- 企業やマネジメント(経営者)サイドにとってのメリットに加え、マネジメントされるサイド、従業員の事情を考えてなくてはいけません。極めてラフな分け方ですが、"経営者サイド"や"従業員サイド"が、ここでいう「要素」にあたるのです。もちろん、これ以外にも"他社の状況"や"財務的な視点"など考えるべき「要素」はたくさんあります。
- ただ、こうしたそれぞれの要素は、ひとまず経営者サイドとか従業員サイドとかいう要素とは、別次元に整理されるべき要素です。これら諸要素をすべて一緒に同列に論じようとすると、部分的に要素が重複指定しまい、話がロジカルに進まなくなってしまいます。
- ■論理には構造がある
- 一般に、論理には決まった構造があります。それは、"自由気まま"に自己主張をするのが論理ではない、ということを意味しています。主義主張は、基本的に自由であり、決まった構造はありません。いわば、「好き嫌い」の世界です。好き嫌いの思いや感情だけでは相手を説得できません。
- ■相手の説得のために
- 論理は、「好き嫌い」ではなく「正しいか正しくないか」、つまり真偽をきっちり判定できる代物です。論理を組み立て、いかに自分の「思い」が、単なる主義主張とは異なり、客観的にみて妥当であり、正当であるかを相手に示してやらないといけないのです。
- ■自由な主義主張と論理の組み合わせが重要
- ただし、論理的であろうとするあまり、自由な主義主張が全く不要であるということでは決してありませんので、注意して下さい。まずは自由に発想し、その後にそれを伝える段階で論理を使えばいいのです。論理だけで説得しようとすると、むしろ逆効果になりかねません。論理には構造があるけれども、思考の本質は自由で、相手の説得にはこの両者をうまく組み合わせてやることが肝要なのです。