前回、ロジカル・シンキングのポイントは、How to型の質問より先に、What型とWhy型の質問を考えることであることをお話しました。What型質問によって物事を考える土台をつくったら、いよいよ次はWhy型質問を考えていきます。
ロジカル・シンキングの極意(2)
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.Why型質問を作成する際のコツは、How to型質問を裏返すことである。
2.自分なりの解答を考える際、いくつもの可能性を列挙してから、他者の立場に立って考え直すことが重要である。
- ■裏返してWhy型質問に変えてみる
- 前回例示した「どうしたら我が社にうまく成果主義を導入できるだろうか」という問いも、ちょっとした工夫をするだけで、Why型質問に修正できます。その問いを裏返せばいいのです。つまり、「我が社ではなぜ成果主義を導入できていないのだろうか?」というように、現状の原因や理由を問う形の質問にすればいいのです。
- ■裏返しのコツ
- 「どうやって成果主義を我が社に導入できるか」という問いの奥には、我が社では実際に成果主義のシステムが導入できていないという現実が潜んでいます。こうした、理想を実現できていない現状に対して「それができていないのは、なぜ?」という形でメスを入れてやるのがここでいう「裏返し」のテクニックです。
- ■因果関係をつかもうとする努力が重要
- 「なぜ?」を問う本質は、その事象の理由や原因を明らかにすることにあります。つまり、Why型質問に衣替えすることで、因果関係の明確化へ向けて自分なりにいろいろと考えるきっかけを作ることができるのです。これでひとまずWhy型質問は完成です。
- 次のステップはこの質問に対する解答を自分で考えていくことです。
- ■さまざまな可能性を考えてみる
- Why型質問に対する自分なりの解答を考える際に重要なポイントは、いくつもの可能性を列挙してみることです。現実的可能性が殆どないようなストーリーであっても、ロジックとして考えられる限り、とりあえずは排除せずに列挙しておくという姿勢が重要です。
- ■いったん自分を離れて見つめ直してみる
- さまざまな可能性を考えるに当たり、上司のAさんならこう言うだろうとか、同僚のBさんならああ考えるだろうとか、いわば"他者のロジック"についても考えておかなければなりません。自分の立場をいったん離れて、他者の立場に立ちながら思いを馳せると、より客観的・相対的に、冷めた眼で、現実を見つめることができます。そして、冷静に考えてみると他者の考えるロジックの方が正しかったと思えることも、実は多いのです。
- ■整理のテクニック
- 次の作業はそれらを整理することです。この種々雑多な要因の整理に力を発揮するテクニックが、いわゆる「MECE」(ミースまたはミッシー)と呼ばれる考え方です。MECEとは、"Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive"の頭文字をとった呼び方で、「漏れなく、ダブりなく」要素を挙げて整理すべし、という考え方です。