常識とは違う発想をしようと思えば、「視野」を拡げて考える必要があります。今回は、視野を広げるために有用で、すぐに実践可能な思考訓練を紹介します。
視野を拡げるための思考訓練
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.最近の学生は、自分に直接関係していないような広く大きな問題は考えようとしない傾向にある。
2.視野を拡げるためには「他人はなぜそういった行動をとったと思いますか?」という問いを繰り返し、考える訓練をすることが有用である。
- ■自分自身に身近なこと
- 最近、大学で学生を教えていて感じるのは、物事を捉える視野や関心が本当に狭く、自分と直接関係がある身近なことに対してしか興味を示さないということです。例えば、「何でもいいから、自分の関心の持っていることを挙げてみなさい」と指示すると、大半の学生は、自分が今取り組んでいるアルバイトや部活動などを題材として取り上げようとします。
- ■自分から離れたことは・・・
- 最近であれば、「政権交代後に政治がどう変化したか」とか、あるいは「原発にはどういった問題が潜んでいる(いない)のか」とか・・・少し社会に眼を向ければいくらでもネタは転がっているはずなのに、そうした問題を取り上げようとする学生は皆無です。要するに、最近の若い学生は、自分に直接関係していないような広く大きな問題は、考えようとしない傾向にあるのです。そもそも自分とは違う世界だと思っているか、考えてもどうせわからないと高をくくっているかです。
- ■眼が外へ向かない!?
- 別の角度から見ると、最近の学生は、自分自身のことや自分の思いを述べることは、恥ずかしがらずに出来るのですが、自分以外のこと(他者、社会)を対象にした問いには急に寡黙になってしまう傾向がある、とも言えます。社会的な話題を出そうとすると、急に冷めてしまい、コミュニケーションを遮断しようとしてしまう態度は残念至極です。
- ■「なぜ」を、他者に当てはめて考える癖をつける
- こうした学生に対し、私はいつも「(あなたではない)他人は、なぜそういった行動をとったと思いますか?」と尋ねるようにしています。このような問いには最初は全然答えられないのですが、繰り返ししつこく問いかけていくことを通じ、次第に考えようとする態度を身につけてくれる学生が多いようです。数ヶ月もこの訓練を続けると、少なくとも「すぐにあきらめては駄目だ」ということは理解し、考えようとするようになっていきます。
- ■他者・社会の中の自分という視点を
- 要は、こうした"自己中心的"な世界観の若者には、自分だけの世界から、他者も含めた自分の世界へと脱皮させてやらないといけないということです。そのためには、自分がどう思うかだけではなく、極力、自分以外の他者が、なぜそういう行動をとったのか(あるいは、なぜそうなっているのか)を問うてやることです。こうした訓練を粘り強く続けていくことで、ビジネスの世界に入ってからも広い視野から物事を考えられるようになるはずです。