常識を知り、そこから外れたことをプレゼンで主張しようとしても、いきなり常識の真逆を言おうとするのは困難です。常識から外れたことを主張するには、どうすればよいのでしょうか。神戸大学大学院、上林憲雄教授よりお伝えいたします。
聞かせるプレゼンテーションのために(2)~"ひねくれ者"のススメ
著者:インソースマネジメント研究チーム
1.常識の前提条件を考えるには、他者とのコミュニケーションは円滑にでき、そのうえで常識に流されない「ひねくれ者」精神を持っていることが重要である。
2.常識から外れたことを主張するコツは、結論から逆向きにさかのぼって問いを考えていくことである。
- ■常識が成り立つ暗黙の前提を明らかにする
- 常識から外れたことを言うためのファーストステップは、その常識が成り立っている暗黙の(みんなに気づかれていない)前提や条件をあぶり出してやることです。そうすると、もはや「常識」は「常識」ではなく、ある特定の状況下や前提があった場合のみに成立する一現象であると位置づけることが可能になります。
- ■“ひねくれ者”のススメ
- 常識を常識として受け取らず、その前提条件を考えるのは、簡単なようにみえますが、実はかなり難しい作業です。常に、世の中の現象や世間一般の考えに対し疑問を投げかけ、自分なりのユニークな視点でもって議論を展開しようとする「ひねくれ者」でなければなりません。ひねくれ者というと、社交性がなく殻に閉じこもった人間を想定しがちですが、そうではなく、他者とのコミュニケーションは円滑にでき、そのうえで常識に流されない「ひねくれ者」精神を持っていることこそ重要なのです。
- ■結論から逆向きにさかのぼって問いを考えていく
- 常識とは違った角度からひとまず結論がひらめいたと仮定しましょう。次に重要となるのが、そのユニークな結論を、どうやって聴衆に説得させるかです。そのためには、結論をいうにはどういう論点が事前に述べられていれば、聴衆は納得するかを考えることが必要です。Answerの方から逆にQuestionを考える、結論から徐々に1つずつ手繰り寄せるようにさかのぼっていく―この“手繰り寄せ”作業を行うのがセカンドステップとなります。
- ■聴衆は白紙状態
- 結論から逆に手繰り寄せていき、出発点となる問いをたてることが出来れば、あとはしめたものです。今度は、最初から順に、このロジックの流れで聴衆を説得できるかどうかを、入念に確認していけばいいのです。常に念頭に置くべきは、聴衆は自分が論じようとする論点については全くの白紙状態であるということです。「なるほど、それはあなたの言うとおりだ」と思わせるには、極力、単純明快なロジックで議論を組み立てることが肝要です。
- ■多すぎる資料は整理が悪い証拠
- 「プレゼン資料は多い方がよく準備している証拠なので良い」というのは、プレゼン初心者が陥りがちな誤りです。資料の多さは、むしろ整理のまずさの現れなのです。