銀子
昔、広告の仕事をしていた頃、プレゼンテーションといえば、企画~見せ方まで神経を使う、ボツかOKかの大変なことでした。プレゼンテーション研修と聞いたとき、「オリジナリティが求められる“プレゼン”を研修で学ぶ?」と疑問に思っていました。
I氏
あ~、広告業界でいうプレゼンとは、少し性質が違いますね。今は一般社会、行政や企業・団体から個人レベルまであらゆるところで、また発表・説明・報告・教育、啓蒙・告知・呼びかけ・注意などあらゆる「説得」にプレゼンの手法が必要な時代です。プレゼン内容は各々が決めるので、研修ではその効果的な伝え方や運び方・考え方・準備など、周辺の具体的な対応策を学びます。プレゼンのスキルとは「相手を説得して、行動させる」ためのスキルである、と考えていますね。
銀子
確かに、受注か失注かのプレゼンだけでなく、いろいろな場面で「見てわかる」説得を目にすることが多くなりましたね。行動を起こさせるための説得、どうしてこんなに一般化したんでしょうか?
I氏
う~ん。あらゆる側面で「単純明快であること」の重要性が増しているということじゃないかなと思います。一昔前までの日本企業では、組織内外問わず、“忖度”とか“阿吽の呼吸”といったことで仕事が進められてきました。でも今は、グローバル化やコンプライアンス意識の浸透、組織における人材の多様化などにより、旧来のやり方は通用しなくなっています。公平性や透明性、「誰にとっても誤解がなく納得できる伝え方」が必要になってきました。
さらにそこへ効率化・成果主義化が加わって、「端的に目的を明示し、限られた時間内で情報を最大限提示し、説得するプレゼン」の合理性が浸透してきたんだと思います。地方よりも、スピーディで新しい形の取引が進んでいる都市部の受講者が断然多いことからもわかります。
銀子
プレゼンスキルはスピードアップ、生産性向上にも役立つんですね。では、相手にとって気持ちの良いプレゼンにするために、どんなことがポイントでしょうか?ご自身もプレゼンされると思いますが。
I氏
組織内の関係では、「話すタイミング」と「言葉の選び方」が大事ですね。忙しさのピークを避けて、誰も傷つけない言葉を使うことです。また、対外的な場合、私はお客さまが使ってほしい言葉、キーワードを使うことを心がけています。例えば具体的な解決策が欲しいのか、精神的な効果が欲しいのかなどプレゼンの前に読み取ったり、クライアントの話によく出てきた言葉を意識して使います。相手が好んで口にする言葉は、相手が望んでいる結論に結び付きやすい言葉ですから。
銀子
なるほど、自然にOKを出しやすい状況を設定するんですね。人間は最初に「Yes」というとYes癖がつくといいます。私もプレゼンの時はまず相手がNoと言わない、天気の話や相手が好きな話題から入っていましたが、同じことかもしれませんね。ちなみに、研修にはどんな職種の方がみえるんでしょう?
I氏
一般企業はもちろん、幅広い業種の方が受講されていますよ。例えば、予備校の講師が魅力的な授業をするために受講され、生徒を集中させるのに効果的だったというお声をいただいたことがあります。
また、こんな話もあります。日本企業がヘッドハンティングで海外から役員を招きました。着任早々、会議での日本人管理職たちが全く説得力も魅力もないことにあきれて、管理職全員に当研修を受講させたんです。外国人から見ると、日本人のプレゼン能力はまだまだ未熟だということですね。
銀子
あはは。外国人役員のがっかりした様子が目に浮かぶようです。では実際、研修でプレゼンスキルは身につくものでしょうか? また、インソースならではの+αはありますか?
I氏
当社のプレゼン研修は、一般的、全方向的に有効なスキルの研修です。特にインソースならではの演習としては、「要約問題」を実施することがあります。例えば1,000字の例文を200字に要約、さらにそれを50字に要約するものです。演習を繰り返すことによってテーマの理解度、コンセプトのズレ、自分のクセなどに自然に気づくようになります。また、プレゼンの体験実習を動画撮影して、自分のクセや不備をチェックするワークも役立つと思います。
結局プレゼンスキルは、何回も繰り返して自分で気づいて身に付けていくものなんです。受講生が実際のプレゼン後、研修で覚えた効果的な言葉を加え忘れて「しまった!」と気づいてもらえば、この研修は成功したと思えます。
銀子
本当に。知識だけではダメですね。本来は年月をかけてプレゼンの経験を積むのでしょうが、研修で疑似体験ができればすぐに不備を修正できるし、早い機会に度胸も身に付きますね。失敗した経験は、なおさら役に立つ大事な経験になりますし。
I氏
はい。経験-内省-概念化-実践という、「経験学習のサイクル」通りです。これはPDCAとも通じます。ともに最も大事なのが経験によって得た「内省(経験の振り返り)=C(チェック)」です。その後の成長に大いに役立つ情報といえます。
インソースは日本で最も多くの研修を実施しています。研修内容は様々ですが、インソースで仕事をするということは、大袈裟かも知れないけれど、日本の人材教育の底上げに貢献していることだと自負し、誇らしく思っています。
昔、若くて心細かった私は、プレゼンに向かう時いつも「ボツにしたら損をするのは私ではなくあなたですよ」と胸の内で呪文のように言い続けました。勝つこともありましたが、負ければ負けただけ損をしました。今は呪文の代わりに研修経験が気持ちを支えてくれます。
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