DX成功のカギは「課題設定力」にあり~俯瞰的視点で、全社の課題を見極める3つのポイント
DX推進の部署を新設する組織が増え、デジタル技術の活用が競争力の源泉になっています。
その一方でDX推進の担当者からは、以下のようなお悩みの声も伺います。
- 「DX推進担当に任命されたが、何から手を付ければよいかわからない」
- 「コストをかけてDXを進めたが、業務改善に結びついていない」
- 「ITツールを導入したが、現場で活用されていない」
これらの悩みは「課題設定力」の不足が原因です。
「問題」と「課題」の違い~DX推進に「課題設定力」が必要な理由
組織で発生しているネガティブな事柄は、すべて「問題」です。その「問題」の中から、自身が意思をもって解決すべきと決めたことが「課題」になります。つまり、自分が主体的に「これは解決すべき問題だ」と選択して、はじめて課題が生まれます。
(具体例)
問題:「売上が低下している」
課題:「営業プロセスを見直して、売上を改善する必要がある」
組織には無数の問題が存在しますが、すべての問題を解決するのは現実的ではありません。そのため、解決すべき課題を正しく見極めることが重要です。設定した課題が適切でなければ、DX施策の方向性を誤り、取り組みの成果を十分に得ることができなくなります。
解決すべき「課題」を見極めるための3つのポイント
解決すべき問題を見極める際は、「その問題が解決できたとき、全社的な利益・損失回避に繋がるか」という俯瞰的視点が大切です。
部分的な解決に偏ると、他部門に悪影響を及ぼし、効率が下がる可能性があります。業務全体を俯瞰し、特定の部門やプロセスに焦点を当てるだけではなく、全社的な視点で問題を捉えることを意識しましょう。
1.費用対効果を見極める
システムやITツールは、導入後の維持・運用コストが膨らみやすいという欠点があります。そのため、適正な費用で適切なツールを導入・運用する必要があります。
適正な費用かどうかは、「投資額に見合う価値が生まれるかどうか」で決まります。費用対効果を検証する際は、可能な限り費用と効果を明確に数値化することが重要です。
2.システムが得意な処理を知る
システムは正確かつ一貫した処理を行うことができるため、入力ミスや確認漏れといったヒューマンエラーを防げることが特徴です。さらに、システムにはそれぞれ特有の強みがあります。得意とする処理を理解することで、デジタル化の対象となる業務を見極めやすくなります。
たとえば、AIはパターン認識や予測に強く、RPAは繰り返し作業の自動化に適しています。このように、システムの特性を正しく理解することで、業務の特性に応じて最適なツールを選べるようになります。
3.業務を標準化する
標準化とは、特定の業務やサービスにおいて、統一された基準やルールを設けることです。この標準化は、構造データ化と定型業務化の2ステップで進めます。
STEP1.業務に必要なデータを整理し、検索や分析ができる形に構造化する
STEP2.勘と経験でやっていた業務の手順を明確化する
この2ステップを踏むことで、デジタルツールやITシステムを活用するための土台を整えることができます。
【DX推進者シリーズ】
課題設定力研修~全社的な課題を見極めて最適化する
DX時代に求められる「問題発見」「問題分析」「課題設定」の3つのスキルを学ぶ研修です。全体最適や標準化の考え方を理解したうえで、さまざまな視点やフレームワークを活用して問題を正しく捉え、本質的な課題を設定する力を身につけます。自部署で解決すべき課題を見極め、業務改善につなげられるようになることを目指します。
本研修で取り扱うスキルは、デジタルの専門知識ではありませんので、IT知識がなくても理解しやすい内容になっています。
よくあるお悩み・ニーズ
- DXを成功させるために、適切な課題が設定できるようになりたい
- 課題設定のための、一連のプロセスが知りたい
- 多くの業務が標準化されておらず、業務の属人化に困っている
本研修の目標
- 問題と課題の違いを理解し、全体最適でDX推進を考えられる
- 課題解決のためにおさえるべきポイントや流れがわかる
- 組織内のメンバーを巻き込み、設定した課題を解決に導けるようになる
セットでおすすめの研修・サービス
【DX推進者シリーズ】仮説構築力向上研修~多面的にデジタル化を考える
DXの推進には、ツール導入による効果の予測と検証が不可欠です。本研修では、DX推進を加速するための仮説構築を学びます。
ワークでは学んだ手法を実践し、今ある情報から将来かかるコストやツール導入後の効果を推定します。また、立てた仮説をどのように検証し修正していくかについても解説します。粘り強く改革を進められるDX人材を目指すプログラムです。
【DX推進者シリーズ】業務フロー最適化研修~行動経済学の観点で検証する
業務フローの可視化は、プロセスのボトルネックや無駄を発見し、効率化や自動化の第一歩となるため、DXの推進には欠かせません。
本研修では、まず業務の流れを図で表現するワークを通じて、現状の業務フローを可視化し、改善すべきプロセスを発見することから始めます。そして、行動経済学に基づくEASTフレームワーク(Easy, Attractive, Social, Timely)を活用し、業務フローを検証します。
これにより、シンプルで使いやすいシステム作りを目指すと共に、ユーザーが積極的に利用したくなる仕掛けを組み込んだ効果的なプロセスを設計することができます。
【DX推進者シリーズ】DX企画力研修~操作性に優れたツールをイメージする(2日間)
DX推進の担当者が、業務のデジタル化を具体的に企画できるようになるための研修です。効率化の成功の鍵となる、「使いたくなる」システムのアウトプットイメージを固めるためのポイントを学びます。
システムの顔であるユーザーインターフェースの設計を起点とした演習を通して、DX推進の実務に自信を持つことができるようになります。