連日マスメディアを賑わせている、様々なセクハラ疑惑をきっかけに、今、あらためて組織の中でのハラスメント問題が関心を集めています。 従来、仕事に関わるハラスメント問題といえば、どちらかといえば、パワーハラスメントが主たるテーマとして語られる傾向が強かったのですが、 海外での「MeToo運動」の影響もあって、昨今ではセクシャルハラスメントの問題に注目が寄せられることが増えてきています。
セクハラについては、パワハラとの違いを強調して語られることが多いため、あえて上下関係の「外」で起こる事例をもって 説明されることも少なくありませんでした。そのため、セクハラは一部の"節操のない"職場の男性が起こす問題であるかのようにイメージされやすく、 女性側が毅然と対応することで、防ぐことができるかのように誤解されがちでした。
しかし、実際のセクハラ問題には、上下関係や取引先との力関係が 複合的に絡み合っていることがほとんどで、声を上げて問題にできない圧力が風土として背景に存在している場合が少なくないのです。 セクハラ問題のほとんどは、同時にパワハラ問題でもあるのです。
かつて、女性が"女性としての魅力"をもって大口契約などの成果を勝ち取ると、周囲から大いに称賛された時代がありました。 デート商法など、恋愛感情を利用した物販契約などについては、さすがに問題視されることもありましたが、 例えば容姿などの"女性ならでは"の要素を武器に成果を上げること自体は、どことなく看過されてきたところがあったように思われます。 女性ほど取りざたされないことが多いですが、男性についても同様のことがいえるでしょう。
しかしながら、組織として社員にそうした行動やマインドを強要する風土があったとしたらどうでしょうか。 営業や接客その他、成果を上げるうえで対人能力が重要な要素となる職種において、 「異性であることをアドバンテージに仕事をすることを、会社や上司は一切求めていない」と言い切れる職場は意外と少ないかもしれません。 「年配の男性経営者は、若い女性が好きだ」「女性の管理職は、見た目の良い男性が好きだ」といった思い込みや固定観念が、実は職場の価値観や風土を形成している可能性は大いにあります。 それゆえ、セクシャルハラスメントの問題は、個人の問題ではなく、組織や業界の問題として捉え、対策を考える必要があるのです。
ハラスメント問題は、ひとたび問題が起こると、被害者についてはもちろんですが、加害者の人生も大きく損なうこととなり、 ひいては組織全体にも影響を及ぼす、重要事項でもあります。社会的に問題化しているこの機運を捉え、単なる知識付与の研修としてではなく、 組織風土改革の一環として、ハラスメント防止研修やコンプライアンス研修を実施することを、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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