「オペレータの評価」についてQ&A方式で、弊社代表舟橋孝之の話をお届けしております。
本日の話は前回に引き続き、「評価をするための組織体制」をお送りいたします。
■評価結果の活用~採用への活用
評価をきちんと実施しているセンターは「採用」も巧みです。
オペレーターに求める所が明確ですから、不的確な人材を採用する確率も低くなります。理由は簡単です。
評価上位者と同じ特性の人材を採用すれば、パフォーマンスの高いオペレーターに成長する可能性は極めて高いです。
派遣会社からよく聞く話ですが、コールセンターから「『良い人材』が欲しい」と言われ、派遣会社の評価基準で「良い人材」をせっかく送り込んでも、ミスマッチが発生し、すぐ辞めてしまう場合が多いといいます。
必要な人物のスキルを「具体的」に示せない事による悲劇です。
評価を通じ、既存オペレーターの評価を通じて必要な人材の水準を明確にしておくべきだと考えます。
■評価における新しい動き~多面評価は在籍期間延長に効果あり
コールセンターにおける最大の課題は「離職率の高さ」であることはご承知の通りです。
その対策として、ある大手カード会社のコールセンターでは「多面評価」が在籍期間の延長に効果を上げているのでご紹介します。
この制度は、SVがその上位者であるマネージャーや所長からだけでなく、部下であるオペレーターからも評価されるという制度です。
これを行った結果、オペレーターの在籍期間が約3割延長し、手応えを感じているということです。
オペレーターの離職理由の一つとして、センターという狭い世界の中での人間関係に対する不満、特に上司に対する不満が上げられます。
その改善策として、評価制度を活用し、「お互いが見られている」状況を作り出すことで、SVの何に不満であるのかを早期に顕在化させ、早期に問題解決を図っていく動きとしては、極めて評価できます。
■「評価しない」という選択肢もある
コール品質が良い事で注目していた外資系通販会社コールセンターの話ですが、極めてユニークであるのでご紹介したいと思います。
オペレーターは100名以上いるにもかかわらず、平均在籍期間は6年以上で、しかも直接雇用の有期の契約社員であり、人材コストは外部委託、派遣社員活用よりもはるかに低く、採用コストに至っては若干補充する際に必要である程度とのことでした。
ここでは、オペレーター個別の評価は行っておらず、ただ、週1回のコールチェックをベースとして、オペレーターとSVが対話しているということです。
「ここが悪い」の指摘・評価ではなく「どうしたの?」という心配や問いかけを通じて、オペレーターのメンタルヘルスを維持し、良い環境整備を実施し続ける事で好循環に入っているようです。
つくづく、改善方法は一つでない所に、コールセンターマネジメントの奥深さがあるように思います。