―――ISPのコールセンターではどのような立場でしたか。
◆マネージャーとして業務改善にあたりました。入った時はSVでしたが、ほとんど改善の仕事ばかりしていました。
◆まず、仕事内容を調査しましたが、仕事量は多く、サインアップデータだけでも毎日1000件近くありました。また、遅延も多く、仕事がどんどん溜まって行き、皆で残業しても終わらないという状況でした。
◆しかし、仕事量は一見多く見えましたが、その中にはムダな動きがたくさんありました。業務改善にあたり、まずそのムダを省くことからはじめました。
◆例えば、画面を見ながら目視チェックをする仕事では、従来、目視チェックを3回行っていましたが、それを1回にしました。
◆作業内容を省いてしまうと、ミスが出やすくなるように思いますが、逆に精度が上がりました。要は、これまで漫然と仕事をやっていたわけです。画面を見ながら目視チェックを3回やれと言われてやっているのですが、見ているようで見てなかったんですよ。1回チェックだけだと、逆に緊張してやるわけです。
―――平田さんは仕事に対するモチベーションが高いですね。
◆私を引き上げてくれたSVさんは、「文句も言わずに何でもやったから、いろんなことをやらせたかった」とおっしゃって下さいました。
◆自分がいたブースは、デスクワークと電話受けとお客さまに直接対応するといった、大きく3つの部門がありましたが、どこに配属されても、私は興味を持って取り組みました。
◆通信会社は、契約社員であっても、試験制度がありました。推薦がもらえると、小論文と面接の試験で階層が上に行けるようになっていました。
◆チャンスをいただける制度が確立されていました。自己評価も合わせて評価制度も明確でしたから、モチベーションは高く保てました。
―――業務改善でご苦労されたことは何ですか。
◆通販で、とある製薬会社が高額な化粧品の販売をはじめた時のことです。案の定、コールセンターが変な立ち上げ方をされていて、それを修正しなければいけなかった時は大変でした。
まず社長以下、コールセンターというものすら、知らなかったわけです。正社員の採用からして認識は違っていましたし、システムそのものも根底から変えねばなりませんでした。人間関係も含めて大変でした。
◆化粧品というのはお店で買うものであって、それを電話一本で売ることの難しさを痛感しました。
◆それでも、5~6万円もする化粧品を、10分くらいの電話で購入してもらえる場面に直面した時は、電話というのは奥が深いし、一番気軽に使えるコミュニケーションツールなのだと実感しました。そして電話というのは何でも売れるのだと実感しました。
◆差別化できている商品だと電話はしやすくなります。例えば、ローションやクリームは差別化が難しかったですが、商品をどのように差別化し、どう売っていくのかについて、毎日遅くまでSVさんたちと打ち合わせして、内容を練っていきました。
◆そうすると、少しずつユーザーさんに浸透して行きました。初めは1日15万円程度しか売れませんでしたが、私が辞める直前は、毎日100万円程度は売れるようにまでセンターが成長しました。
◆コールセンターの人数を増やさなくても、売り上げは上がるものだなとその時感じました。また、クレームも少なかったですね。これから大きなセンターになっていくだろうという確信が持てましたから、私はそのセンターを出ました。
※次回は、平田さんのコールセンターマネジメントについて、詳しくお話いたします(モチベーション維持、モニタリング、オペレータ採用など)。