■良いナビゲートと悪いナビゲート
お客さまをナビゲートし、会話を主導するためには、お客さまがイメージしやすい具体的な言葉を使いつつ、クッション言葉などを織り交ぜて、やわらかい印象を保ちながら、効果的にお客さまを確認・誘導することが求められます。
良いナビゲートができているオペレータは、お客さまの言葉などを説明に取り入れながら、イメージが浮かびやすい説明ができています。
また、お客さまのご要望をしっかりと踏まえたうえで会話を先導し、お客さまの意思決定を促進できます。
それに対して、ナビゲートができないオペレータは、お客さまのご要望を理解していなかったり、理解していてもそれをお客さまに表現できず、会話中に不適切な間をつくってしまいます。
なかには、お客さまからの問いかけに、「はい」のみの回答しかできないため、お客さまから「何を申し上げればよろしいですか?」と確認されてしまうオペレータもいます。
■しっかりとしたナビゲートを行うためには
ナビゲートを行うためには、会話の"ゴール"を意識して、お客さまの半歩先を進む姿勢が求められます。
また、スキル面では、オペレータ自らが能動的に質問をして、お客さまの潜在的な要望を聞き出す能力が必要となります。
つまり、お客さまとの会話を上手にナビゲートするためには、「質問力」と「説明(回答)力」のトータルなスキルが試されます。
■質問力をつけるには?
前述の繰り返しになりますが、お客さまの要望を把握する質問をするためには、「お客さまが何を求めているか」(ゴール)の推測を繰り返し、状況に沿った質問を重ねて、お客さまが求めているものを明確にしていくことがスタートになります。
お客さまのお知りになりたいポイントは、本当に人それぞれです。
例えば、
・時間に間に合わせたいか?
・どうしてもその品物なのか?
・コスト重視か、クオリティ重視か ・・・などです。
そのため、いきなり、お客さまの求めるもの(ゴール)にたどり着くことは不可能です。
「確実にお客さまの要望に応えたい」という姿勢で質問を重ねることが、半歩先を指し示す(ナビゲートする)ことを可能にします。
良い会話例、特にスキルの高いオペレータの録音を聞き、質問部分や相づちをメモに起こして、ナビゲート方法を学ぶとよいでしょう。
■お客さまをナビゲートするには
では、お客さまをナビゲートする会話は、どのように組み立てればよいのでしょうか。
2タイプの質問、クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを順にお客さまに投げかけ、ご要望を明確にしていくと良いでしょう。
最初にクローズドクエスチョンとオープンクエスチョンについてご説明しておきます。
※「オープンクエスチョン」
オープンクエスチョンは、一言もしくは短い言葉で答えられない質問のことです。
例えば、「どのような商品をご希望でしょうか? 」というような、お客さまに少し考えていただきたい場合、質問者が思い浮かばないような答えをお客さまから引き出したい時に使用します。
しかし、答えにくいので多用するは考えものです。
※「クローズドクエスチョン」
一方、クローズドクエスチョンは、オープンクエスチョンの逆で、質問内容を絞って、"Yes"or"No"でお客さまに答えていただく質問です。
例えば、「○○をご希望ですか?」といった質問です。この質問は「確認」する場合、会話の流れを止めたくない場合に有効です。
ただし、答えやすい質問である一方、多くの情報を得ることはできません。
会話をナビゲートする場合は、クローズドクエスチョンからはじめると良いでしょう。
■お客さまのニーズを具体化するテクニック
お客さまが店舗で洋服を探している場合を想定してみます。
定員に第一声で「何をお探しですか?」(オープンクエスチョン)と問われて、「スーツのなかにも着られる薄手のセーターです。
デザインは長袖のタートルネックで、色は黒、素材はウール、サイズは○○です」と、即座にすべての要素を説明できるお客さまは多くありません。
店員がお客さまの眺めている商品、手に取っているものから推測して、
店員 :「セーターをお探しでしょうか?」(クローズドクエスチョン)
お客さま:「ええ」
店員 :「デザインはタートルネックでお探しですか?」
お客さま:「そうなんです」
クローズドクエスチョンを重ねていくと、店員にはお客さまが探しているもの、次に確認すべき事項が見えてきます。
また、会話が次第に乗ってくるので、お客さまも自分からより多くの情報を開示してくれるようになります。
店員 :「カジュアルな雰囲気のものでしょうか?」
お客様:「いいえ、スーツの中に着られる薄手のものを探しています。通勤でも着用したいので、色は地味なほうがいいです」
店員 :「わかりました。黒やグレーがございますが、サイズをお伺いしてもよろしいでしょうか?」
といった具合です。
会話の前には、店員はお客さまが具体的にどういったものを求めているのかよくわかりません。お客さまご自身ですら、自分の要望が漠然としている場合もあります。
しかし、店員がファシリテーター役を務めることで、会話を重ねながらお客さまのニーズを具体化していくことができます。
自分でもぼんやりとしていた考えが徐々に形になっていくことで、お客さまは心地良く感じ、また店員もお客さまの要望を正確に理解して業務へつなげていけるのです。
こうした質問の技術は、コールセンタにおいても、もちろん役立ちます。
場面に応じた質問のバリエーションを知って、お客さまの要望を把握し、意思決定を促進して、しっかりと会話をナビゲートしてください。
☆今回で「お客さま視点の満足度調査」の連載は終了です。
次回もお楽しみに!
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