■上司は現場の仕事を体感し、情報収集し、リスク管理を考える
上司の仕事は、他の人を動かすのが仕事ですが、「リスク管理」は、
絶対に自分でやらなければいけない仕事です。
例えば帰社時の「窓」開閉確認について申し上げると、部下を責任者
として確認させるのは業務上、当然です。ただし、自分でも1回は実施
してみることが重要です。
マネージャーには経験、責任、さまざまな情報があります。それらを
踏まえて、どういう状況下でミスを犯しやすくて、どのような状態に
なったら、窓が閉まっていると言えるか(業務が完遂された)などを
自分で知り、分かったら、以降は指示できます。ただ、自分で1回も
やったことがなく、また、見たことがなければ、それがわかりません。
「自分でやる」という話で思い出すのは、阪急電鉄の創業者である
小林一三氏が大経営者として名を馳せた後、十三の駅で「駅そば」を
自らの発案で開始した際、「最初のそばは自分で打つ」と言い張ったと
伝えられております。
一三氏は自らそばを作る経験を通じて、そばの作成時間、手順、
やけどなどのリスク、何分でお客様が食べるのか?味などの品質への
お客様の評価等々さまざまな情報を得、その後の運営に役立てたいと
思ったのでしょう。いずれにしろ、マネージャーとしてあるべき
行動だと思います。
■上司の動きで部下の動きが変わる!
ある大企業で営業部門から管理部門のトップになった専務さんから
聞いたお話です。管理業務に不慣れである事を自覚し、またちょっと不安
になり、キャビネットの施錠という最も基礎的な事を自ら確認したそうです。
「月曜日の朝早く出社し、キャビネットが施錠されているかどうか全館
チェックしたんですよね。そうすると、やっぱり、開いているキャビネット
があるわけですよ。当然ながら、全管理職を集めて、こってり油を
絞りました。」
それ以降、キャビネット施錠に関する問題は起きていないそうです。
理由は・・・
専務が朝早く来て、閉まっているかチェックするかもしれないとなれば、
取締役は確認しますよね。
取締役がやれば、部長は嫌でも確認しますよね。
部長がやれば課長もやりますよね。
課長がやれば係長もやりますよね。
係長がやれば主任もやります。
主任がやれば若手もやります。
結局上がちゃんとやるかどうかで、下の動きも全然違ってきます。
■マネジメントできる範囲を認識するのがスタート
経営幹部は財務やマーケティングなどいわゆる経営マネジメントが
できれば、職務を完遂できるものだとの考えについて、私は絶対に違うと
思います。自らの組織のリスク管理は自分でできなければいけません。
最悪でも、業務を知り自分一人でもトラブルを止められなくてはならない
と考えます。
逆に、マネジメントできる規模や業務を良く認識して、できるなら組織トップ
になるべきだと思います。まずは、これが最初のリスク管理です。
できるマネージャーは大体こんな方針で仕事をしているはずです。
■起こったら「どうするか」まで考える
また、日常のリスク管理は、こうなったらどうしようということをあらかじめ
決めておかなければいけません。弊社の「リスク管理研修」では、リスクに
ついて具体的に考えることをポイントとしています。それを短い間ですが、
考えていただき、10~20個洗い出していきます。「こんなことが起こる
かもしれない」で終わるのではなく、「起こったらどうするか」まで考えて
いただきます。「起こったらどうするか」まで日常的に考えている方は
意外に少ないと思います。だから研修では、講師が強制して考えて
頂いて、リスクを再確認していただいています。
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