「対面」によるクレーム対応は、"傾聴力"が重要ですが、「メール」によるクレーム対応は、文面の"読解力"が最も重要となります。
■対面や電話対応とメール対応の違い
対面接客や電話応対の場合は、お客さまの表情や声のトーンなどで、お客さまのお怒りの大きさが掴みやすく、またその原因も「対話」と「確認」を通して、比較的正しく把握できる特徴があります。
それに対し、メールでは文面のみでお客さまのお怒りの原因とお怒りの大きさを正しく掴むことが必要とされます。最初の「読み取り」を丁寧に行うことで、適切な解決案や代替案を提示することができます。
■メール文面読み取りのポイント
メールの文面を読み取るポイントは3つ。
・苦情のお申立て内容(6W3H)
・お客さまの感情(お客さまにとっての事態の重要度・緊急度)
・お客さまのご要望・ご要求内容
以下の文章をお客さま(山田さま)の立場で読んでください。
あなたならどう感じるでしょうか?
■お客さま(1)
先週、貴社WEBより「☆☆☆」をクレジットカードにて購入した山田と申します。
インターネット申し込みの「備考欄」にも念のため「宛先空欄か会社名(インソース商事)で領収書希望」と入力したのですが、商品には何も同封されておりませんでした。経理締めの関係で領収書が至急必要なのですが、別送されるのでしょうか?恐縮ですが、いつごろ到着予定かお知らせください。よろしくお願いします。
□B社より(1)
山田さま
B社にお問い合わせいただきありがとうございます。領収書の発行に関するお問い合わせですが、お支払方法にクレジットカードをご選択いただいている場合には、商品に同梱しております納品書兼領収書が、当サイトにて発行しております領収書となります。納品書兼領収書には、ご請求先、お届け先、ご注文日、商品名、お支払方法、単価、合計金額が記載されておりますので、恐れいりますがこちらをご利用くださいますようお願い申し上げます。なお、別形式での領収書の再発行は一切承っておりませんのでご了承ください。ご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。
■お客さまより(2)
だから、商品以外は何も入っていなかったんですよ。納品書兼領収書のことは先に全部読んで知っていました。それでいいので、早く送ってください。お願いします。
□B社より(2)
山田さま
このたびは、ご注文商品に納品書兼領収書が同梱されていなかったとのことで、大変ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。通常は領収書の再発行は承っておりませんが、今回はお受け取りいただいていないとのことでございますので、領収書の発行手続きを開始させていただきます。
手続き完了のお知らせにつきましては、領収書の郵送をもってかえさせていただきます。また領収書のお届けにはお時間をいただくことがございますが、手続きが完了しだい順次郵送させていただきますので、ご理解くださいますようお願いいたします。
■お客さまより(3)
>通常は領収書の再発行は承っておりませんが、今回はお受け取りいただいて
>いないとのことでございますので、領収書の発行手続きを開始させていただ
>きます。
一言多いのではないですか?もともと入っていなくて困っていると言っているではないですか?急いでるっていってるじゃないですか?
□B社より(3)
このたびは、お客さまに大変ご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。また、前回の返答に失礼がございましたことを、重ねてお詫び申し上げます。
お客さまの領収書につきましては、前担当者より発行の手続きをさせていただきました。領収書発行手続き完了のお知らせにつきましては、領収書の発行をもってかえさせていただきます。また領収書のお届けにはお時間をいただく場合がございますが、手続きが終了しだい順次郵送させていただきますので、ご理解くださいますようお願いいたします。
万一、数日お待ちいただきましてもとどかない場合には、誠にお手数ではございますが、再度ご連絡いただけるようお願い申し上げます。
■お客さまより(4)
領収書、本日到着しました。が、「会社宛」とお願いしたのにもかかわらず「山田 宛」での領収書でした。至急空欄か会社名義で再送付してください。メールのやり取りに使った時間を返してください。きわめて遺憾です。責任者の方からしかるべき回答を頂戴したいものです。
いかがだったでしょうか?このやり取りに関して来週解説いたします。
☆来週もお楽しみに!