クレーム対応の勘所

 【自分ではどうしようもない事実についてクレームをいわれたケース】

クレーム対応の勘所

互いに「共感」することで解決する

自分ではどうしようもない事実についてクレームをいわれたケース

互いに「共感」することで解決する

■クレーム発生の経緯

ある証券会社さまでのケースです。コンプライアンス上、様々な場面で「本人確認」を行うことが厳守されています。電話で注文を受ける際にも、氏名・生年月日・現住所など口頭でお伺いしないと取引には進めません。

あるご年配の男性から株式注文の電話を受けましたが、「最近引っ越したばかり」ということで、現住所をなかなか伺う事ができませんでした。そのため本人確認に長く時間を要し、お電話から注文までに時間を要しました。その結果、「住所をしつこく聞かれているうちに株価が上がってしまった。あのときすぐに買えていればかなりの儲けを得ることができた。その分の額を補償してほしい。」とクレームを言われました。

担当者の説明だけでは納得していただけなかったため、上司と共に対応にあたり、話し合った結果、ご納得していただけました。


■今回のポイント

1.まずは言いたいことをすべて話していただく

怒って興奮しているお客さまの話の内容は、クレームを発生させた事象だけでなく、日頃から溜まっていた小さなイライラが一緒になっていることがあります。まずはお客さまが溜め込んでいた怒りを、とことん吐き出していただくことが重要です。怒りをすべて吐き出したお客さまは、多少なりとも冷静になられます。

2.心から謝る

理由はどうあれ、お客さまを怒らせてしまったことは事実です。自分がお客さまの立場だったら・・・の気持ちを持って、誠心誠意のお詫びを示します。また、「お客さまのおっしゃることは本当によくわかります」といった同意を示すことも、話を上手に聞くうえで有効な表現です。

3.共感する

「お客さまのおっしゃることは本当によくわかります」「私もそのように思います」と共感を示すことも、相手に落ち着いていただくのには有効な表現です。

4.少しずつ事実をお伝えする

「おっしゃることはわかります。ですが・・・」相手の言い分に共感(認めるのではなく)した後に、事実を少しずつお伝えする必要があります。また、自分ではどうしようもない事実であれば、「わたしもそうして差し上げたいのですが...」等、自分に「同情する」気持ちを持っていただくこともクレームの解消に有効です。


■最終的に、お客さまを味方につける

クレーム対応は、うまくお客さまの共感を得られれば、逆に味方になっていただけます。

冒頭のクレームも、最終的には「君たちも大変なんだな。これからおれも協力してやるよ」と非常によい解決へと導くことができました。「共感する」「共感してもらう」ことは簡単ではありませんが、「どうすればお客さまの怒りが収まるのか、クレームを解決できるのか」を知っておくことは、クレーム対応の基本です。


▼ぜひご参照ください「お詫び状の書き方」

           *    *    *

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