■今は自分の立場で最善を尽くす時
海外のマスコミは大震災に直面した日本の被災者に対して、被災者の
忍耐強さと秩序立った様子に驚きと称賛の声をあげています。
その一方で、被災者以外の周囲の人々の「人の不幸を省みない」言動や
行動が糾弾される場面が多く見受けられることも否めません。
このような非常事態時こそ、人間の本質があらわになると言えます。
改めて自分自身の立場を見直し、お客さまは何にお困りなのか、自分達に
何が求められているのか、そして自分達はお客さまのためにどんな貢献
できるか、というスタンスで物事を考えることが大切です。
■どのようにお客さまに向き合えば良いのか
お客さまと接する機会の多い皆さまにとって、最も大切なのは、「お客さまの
心情を理解した応対」をすることです。それでは、どのようにすれば
「お客さまの心情を理解した応対」ができるのでしょうか。具体的には、
次の4つの方法をおすすめいたします。
1.プラスアルファ(+α)の声かけを行う
2.お客さまのご事情を全身で心をこめて聴く
3.解決策を共に考える
4.いくら調べても、考えても解決策がない場合は心を込めてお伝えする
以下に、それぞれの内容を見ていきます。
■プラスアルファ(+α)の声かけを行う
現在、お客さま対応時、「地震の影響により、××(商品・サービス)の
取り扱いは行っておりません」というようなことが多くなってくると思われ
ます。このとき、あえて「地震の影響により」だけでなく、次のような一言
を添えてみましょう。
「ご不便をおかけしまして、誠に申し訳ございません」、
「お時間を取らせてしまいまして、申し訳ございません」、
「せっかく当社の製品(サービス)をお使いいただきながら、
誠に残念です」
事務的に対応するのではなく、お客さまがお困りの事実に対し、お客さまの
心情を推し量って言葉をかける必要があります。「困っている」人がいたら
同情するのはごく普通のことです。ましてや自社の商品・サービスを使
っていただいているのであれば、なおさらです。ただ現実には、
「地震が・・・」という理由の説明が先行してしまいがちです。現在の相手
の立場に立って、共感することが重要です。
■お客さまのご事情を全身で心をこめてきく
「いや、この商品は至急いるんだよ。娘が・・・」などとお客さまが事情の
説明をされる場合があると思います。このようなときは、お客さまのご事情
を全身で心を込めてきくことが大切です。お客さまの話をきくとは、「態度」
「表情」「声」を使って、お客さまの「困っている」状況に対しての「共感」を
全身で伝えることに他なりません。
例えば、先の例であれば、「さようでございますか。すぐお嬢さまに必要
なんですね。ご事情お察しいたします」とお伝えします。漢字の細かい
ニュアンスで表現すれば、これは「聞く」ではなく「聴く」です。事務的
ではなく、心で聴きましょう。
お客さまは「話して、事情を分かってもらいたい」のです。お客さま対応を
される皆さんにとっては「よくあること」かもしれませんが、お客さまに
とっては「大きな」「大切な」「まれな」ことです。誠意を示すために
遮らずに全身で聞きます。お客さまの話を聞いている時間は長く感じ
られるものです。しかしお客さまの話は、ほとんどの場合、3分以内に
終わってしまいます。少し我慢して聞いてください。そうすると、両者の
間に信頼関係が生まれます。
■解決策を共に考える
まず、よくご事情をお聞きし、対策を見つけるのがプロの務めです。
様々な可能性を考え、上司、同僚などにも相談します。その際は、
お客さまのご要望をメモにまとめ、整理して相談します。
■いくら調べても、考えても解決策がない場合は心を込めてお伝えする
場合によっては、どうしても解決策がない場合もあると思います。そんな
ときは、「いろいろ検討いたしましたが、やはり対策がございません。
大変お困りのところ、申し訳ございません。」と心を込めてお伝えします。
決してお客さま対応を「事務」のように「処理」してはいけません。
「お客さまの心情を理解すること」。それには、サービス業の原点となる
「CS」の考え方と、それを具現化したアクションや言葉の表現が必要と
なります。
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