【基本手順】
基本手順 【2-1】
クレーム対応には、手順があります。お客様の気持ちを鎮め、
クレームを激化させないためには、この基本手順を守る必要があります。
先週は、基本手順1「当事者意識を持つ」についてお話しました。
今週はその続き、基本手順2「お詫びする・聴く」についてのお話です。
ぜひ、この基本手順をマスターし、皆様の現場でご活用ください!
■基本手順2:お詫びする・聴く
では、クレームにはどのような態度で臨めばよいのでしょうか。
難しいことですが、ひと言でいうと、お客様が困っている事実に対して、
その心情を理解し、共感してさしあげることがクレーム対応でもっとも
重要なことです。お客様によって困っている事実は様々なので、
まずは、お客様がお困りの事情、心情をお察しする言葉をかけ、
内容を伺いましょう。それが、「お詫びをする」・「聴く」ことになるのです。
以下のような例は、お客様の心情をまったく理解せずに一方的に
自分の言い分を並べ立てているだけの悪い例です。
お客様:「おたくのシステムが止まって、困っている。
どうしてくれるんだ!」
応対者:「同時に何人もの方でお使いではないでしょうか?
当初から、この製品は5人以上の方が同時に使用できる仕様には
なっておりませんが、ご存知なかったでしょうか?」
お客様:「聞いてないぞ!そんなこと!」
(1)お詫びする
◆なぜ「お詫び」をするのか?~人として「同情」するのは当然
しかし、「お詫び」をするといっても、全面的に自社や自分の
「非を認めて」「謝罪せよ」といっている訳ではありません。
クレーム対応者は、まず、お客様がお困りの事実に対して、お客様の
心情を推し量って、言葉をかける必要があります。
人として、「困っている」人がいたら同情するのはごく普通のことです。
ましてや自社の商品・サービスを使っていただいているのであれば、
なおさらです。
ただ現実には、言い訳が先行したり、ひどい時には黙りこくってしまったり、お客様を無視したり、ふてくされてしまう人が非常に多いのが現実です。自分が何か不快な思いをした時のことを思い出してみてください。どちらに非があるかにかかわらず、「誠に申し訳ございません」と深々と頭を下げられて悪い気はしなかったはずです。相手に明らかに非があった場合でも、丁寧にお詫びされることで、「この人だけが悪いのではなく、
自分にも非はあったのではないか」と歩み寄る気持ちが生まれてくるものです。クレームは「処理」するものではありません。クレームに「対応」し、「お客様の心情を理解する」ことが、解決を早める最適な手段なのです。
◆最初の「お詫び」は裁判沙汰を減少させる
クレームが大きくなった例として、裁判沙汰になるというものがあります。
一担当者の手から離れて、会社として、多大なコストを費やして対応する
必要が出てきた瞬間です。これは、担当者にとってもお客様にとっても
不幸な事態といわねばなりません。
しかし、冷静に考えてみると、裁判は相手が起こす気が無ければ
開かれません。裁判にまで発展するクレームの多くは
「対応が悪かったから」、もっといえば「最初に謝らなかったから」
というものが多いのが実際です。
これは、弊社がお仕事をさせていただいた企業で実際にあった話です。
「お詫びをきちんとする」ことを決めて、社員に徹底した後は、
「社長への手紙」という形で来るような重いクレームが、それ以前の
10分の1に減ったケースがあったそうです。もちろん「お詫び」だけで
生じた結果ではないと思いますが、誠意の感じられる「お詫び」の効果も
少なからず貢献した結果です。
しかし、普段お詫びを言いなれていない人の中には、いざというとき
「お詫びの言葉」がすんなり出てこない方もいらっしゃると思います。
そんな方には、実際に声に出して練習して慣れることも一つの手です。
以下のような、「お詫びの言葉」を声に出して練習してみましょう。
「ご不便をおかけしまして、誠に申し訳ございません」
「お時間を取らせてしまいまして、申し訳ございません」
「せっかく当社の製品をお使いいただきながら、誠に残念でございます」
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方