【クレーム対応のイロハからお詫びメールまで押さえておきたいポイント34】
クレーム対応のイロハからお詫びメールまで押さえておきたいポイント34 【9】
クレームは決してなくなりません。これはあらゆる業界を通じて共通しています。日常的に発生するクレームの多くは、一定の手順を覚え、お客さまの心情を理解し、冷静に対応すれば、必要以上にあわてる必要のないものです。それどころかしっかりしたクレームの「作法」を身につければ、クレームを自分の味方にすることもできます。
◇9/17出版!「クレーム対応の基本がしっかり身につく本」<改定版>
今回の改訂では、「お客さまとの円滑なコミュニケーションの方法」や、みなさまからのご質問の多い「激しく正当性を主張されるお客さまへのクレーム対応」「クレームeメール対応」を新たに追加しました。
前回の読者の方にも、初めて本書を手にされる方にも、新しい気づきを得ていただけることと思います。この出版を記念いたしまして、その本の一部をメルマガにてご紹介いたします。
■クレームの「背景」まで考えて対応できる
クレーム対応のベテランとは、自分のもつ業務知識をベースに、業務の流れの中で、どこで、どのくらい、いま、目の前にいるお客さまのためだけの対応(個別対応)が可能なのかを判断することができる人です。
ベテランと新人の大きな違いは、「クレームの背景を見る力」です。ベテランは、「サービス」「商品」「自分」だけではなく、お客さまの健康状態、体調、立場、人間関係など、現在の境遇まで推測しつつ、話を聞いています。激しくクレームを申し立てるお客さまの中には、なんらかのご不幸、ご事情をおもちの方もいらっしゃいます。たとえば「疲れがたまっている」「仕事がうまくいっていない」「家庭内で揉めごとがある」「自分の評価が低いことに悩んでいる」などです。そんな誘因が商品やサービスのトラブル・ミスと複合して、時として「大クレーム」として表れます。
■お客さまの様子・言葉の端々から情報を得る
ベテランになるには相応の時間と努力が必要ですが、ベテランのスキルを学ぶことは可能です。お客さまのことを知るには、お客さまを冷静に観察し、お客さまの言葉や様子、事実からその背景を推測することが必要です。
電話を受けた場合でも、話の内容だけではなく、お客さまの声の表情(トーン)や間の取り方などに注意します。たとえば、「いつもと違う!」と言われれば、お客さまがはじめての方なのか、リピーターの方なのか、容易に判断できるでしょう。言葉の端々を冷静に判断するだけでも、クレームやお客さま自身の背景について貴重な情報を得られるのです。
また、お客さまについてよく知りたいと思えば、話を早く切り上げようとは思わなくなります。
■ベテランが駆使する「共感」のスキル
対面の場合は、表情にまで注意を払う必要があります。「無表情」や「軽薄な愛想笑い」はお客様に不快感を与えます。むやみに笑顔を見せず、堅苦しくなく神妙な顔つきで、要所要所で視線を合わせることを心がけましょう。
お客さまに叱責されたときは、反論せず、お客様の気持ちに寄り添うように「そうですね」と申し上げながら、お客さまのお気持ちが収まるのを待って、再度お詫びを申し上げます。
「話を聞く」「相づち」「うなずき」「復唱」により、お客さまのへ共感を伝える動作を心がけます。そして、お客さまの「背景」まで考え、深く共感して対応することを目指します。
■「あなたに会えてよかった」と言われる対応を
ベテランの方々は一般的に年齢が高く、人生経験も豊富です。ですから、その経験から相手の事情・背景に対して深く「共感」することが可能です。この共感がクレームの解決を早めるのです。ベテランはクレームを受けるとき、「このお客さまは、いま、こういう気持ちでいるはず」ということを考えます。
たとえば、疲れがたまっているご様子なら、「お疲れのところ申し訳ございません」と共感を示す言葉をかけます。お客さまは、「実は母の介護をしているので・・・」とプライベートな話を打ち明けて、心を開いてくださるかもしれません。
「(いろいろなことはあったけど)あなたに会えてよかった。あなたと話ができてよかった」
「あなたが言うならしかたがない」
とお客さまに言っていただけるのが、ベテランのクレーム対応の結果です。そういう関係を築くことを目指しましょう。
☆次回もお楽しみに。
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方