クレームは決してなくなりません。これはあらゆる業界を通じて共通しています。日常的に発生するクレームの多くは、一定の手順を覚え、お客さまの心情を理解したうえで、冷静に対応すれば、必要以上にあわてることのないものばかりです。それどころかしっかりしたクレームの「作法」を身につければ、クレームを自分の味方にすることもできます。
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「クレーム対応の基本がしっかり身につく本」<改定版>今回の改訂では、「お客さまとの円滑なコミュニケーションの方法」や、みなさまからのご質問の多い「激しく正当性を主張されるお客さまへのクレーム対応」「クレームeメール対応」を新たに追加しました。
以前からの読者の方にも、また、初めて本書を手にされる方にも、新しい気づきを得ていただけることと思います。この出版を記念いたしまして、ここでは、その内容の一部をご紹介します。
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●事例● 配達の遅れから大クレームに
お客さまから、「食事の配達が遅い。宴会に食事が間に合わない!」とのクレームの電話が入りました。このときのお客さまからの電話が雑音まじりで聞き取りにくく、何度もお客さまの名前の確認をしたことが、怒りの炎に油を注いでしまいました。
お客さまに何度も謝罪し、お届け先をお聞きしましたが、「おまえではダメだ。社長が届けに来い。社長に直接文句を言いたい」の一点張りです。もう2回も名前は言った。聞き取れないおまえが悪い」とお客さまのお名前も教えていただけません。その後、なんとかお名前を聞き出すことができ、料理を配達しましたが、「こんなに遅れたのだからタダにしろ」とおっしゃり、代金はいただけませんでした。〈ケータリング業〉
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■通常時以上に落ち着いて事実確認を
このような場合には、通常時以上に落ち着いて事実確認をすべきです。叱られても、叱られても、ボクシングでジャブを打つように、いろいろな角度から尋ねましょう。
「大変申し訳ございません。同じお名前の方がたくさんいらっしゃいますもので」
「ご住所だけでも教えていただけませんか」
「弊社の営業担当は誰でしょうか」
など、いろいろな聞き方をしてみます。
どんなにお客さまがお怒りのケースであっても、事実確認は通常業務の方法、ルールにのっとってじっくり行います。事実確認のポイントは、
(1)いつ(When)
(2)どこで(What)
(3)誰が(Who)
(4)何を(What)の4つです。
■一定時間対応したら上位者にバトンタッチ
「社長を出せ」的な発言があるときは、一定時間(10~30分)一人の担当者が対応したら、上司や別の担当者に交代していきます。その際は、お客さまに同じことを何度もおうかがいしないよう、メモはきちんと取って内容を引き継ぎ、次の担当者に渡すようにします。
その過程で、お客さまに「上司にまで対応してもらった」と、一種の達成感を味わっていただきます。当者から係長、係長から課長と連携していくと、だいたい課長ぐらいのところで、ご納得いただけるものです。
また、最初の担当者との間で発生した、「感情のもつれ」も合わせて忘れていただきます。このようにしながら、お客さまにだんだん冷静さを取り戻していただくのです。
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