クレーム対応の勘所

 【困難クレームと向き合う】

クレーム対応の勘所

さまざまな「判断軸」

困難クレームと向き合う 【3】

さまざまな「判断軸」

先週は、複数の対応策・選択肢の良し悪しを評価(=判断)するための「ものさし」となる、「判断軸」についてお話しました。

通常、「判断軸」は1つとは限りません。よって、複数の判断軸から多面的に判断を行う必要があります。また、判断軸は、背反の関係(トレードオフ)となることもあるので、「どの判断軸を優先するか」を判断するための判断軸も必要となってきます。

では、どんな判断軸にはどんなものがあるのか、みていきましょう。

■お客さまの納得度に基づく「判断軸」

クレームは、こちらが提供するモノやサービス、あるいは対応に不満があった際に発生します。「そのクレームに対し、どのレベルでの不満の改善を目指すのか」という判断軸で対応策を考えます。

(例)どのレベルでの改善を目指して対応するか

段階1 とりあえず不満が収まるレベル
段階2 また利用しても良いと思ってもらえるレベル
段階3 転じてファンになってもらえるレベル


民間企業の場合、「得意客であるほど満足度の高いレベルで対応する」という判断には、一定の合理性があります。一方、行政機関等では、公平性の観点から、お客さまによって対応を変えることは適切ではない場合があります。

■「コストとリスク」に基づく判断軸の例

クレームを解決するためなら、何でもできるというわけではありません。クレームの解決策の多くは、何らかのコストが伴います。また、場合によってはリスクが発生する場合もあります。このように、自組織として、どこまでの負担を甘受するのかを想定した上で、判断を下すことも重要です。

(例)どのレベルのコスト・リスクを想定して対応するか

段階1 商品交換に応じる
段階2 返金に応じる
段階3 慰謝料を払う

自組織のコスト・リスクのみを意識して提示する代替案や解決策は、当然お客さまから見ると「誠意のない対応」と映ります。「お客さまの納得度」という判断軸と併せて使うことが大事です。

■「客観性の高い基準」に基づく判断軸の例

法律や一般常識といった客観性の高い"ものさし"を基準にすることで、双方の間に生じる認識のズレを無くすことができます。ただし、客観性の高い基準にもレベルがあり、どのレベルで対応するかの「判断」が必要となります。

(例)どの基準をクリアするレベルで対応するか

段階1 法律・条例をギリギリクリアしたレベル
段階2 世間一般の常識をクリアしたレベル
段階3 業界で一番高い水準をクリアしたレベル

法令を前面に押し出して判断を下すことは、相手も受け入れざるを得ないだけに、感情的にしこりが残りやすいというデメリットがあります。

■組織理念・方針に基づき、ばらつきなく

クレーム対応には、その組織のお客さまに対する姿勢が如実に現れます。どのような判断軸を重視して対応するのかは、その組織が掲げる理念や方針とも関連しており、また、同じ組織内の人によって対応にばらつきがないことが望ましいといえます。


☆次回もお楽しみに!


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