インソースの小林です。前回は奈良時代にも役人の休暇の規定を定めた「仮寧令」(けにょうりょう)という法律が設けられていたというお話をいたしました。
そして、今も残る当時の休暇届から、劣悪な労働環境が見えてきました。
さて今日は、その続きです。
■奈良時代の変な休暇理由
当時の休暇届には、変わった理由が多く書かれていました。
・「穢れた衣服を洗うため」:5日の休暇
~そんな理由で休みが取れる? しかも長すぎる。洗濯は1日で十分では?
・「今月十六日の夜、私盧(自分の家)の物を盗まれたため」:3日の休暇
~ショックで仕事も手につきません!
・「親母の胸病を療さんがため」:3日の休暇
~親孝行な人だ
・「身、疹病に沈み、動転することを得ず(はしかにかかって動けない):
日数不明
~大人になってからのはしかは大変です
・「私の祭礼のため」:2日の休暇
~祭り好き?
・「身を沐浴し浄めんがため」:4日の休暇
~体を清めるのに4日もかかるのでしょうか?
などがあります。
■休暇延長の申し出もできた
また、休暇の申請をしても、病気が治らない時は、さらに休暇を延長する場合もありました。
例えば、「(今)月五日を以て赤痢起こるによりて、三箇日の暇を給ひて罷る(まかる)。しかるに今日までいまだ息癒(回復)せず。仍ち(すなわち)緩遅(カンチ、さらに休暇をとる)の状を注し(状態を記載し)、謹んで以て解す(つつしんで休暇届を出します)」とあり、赤痢になり、3日間の休暇をとったが、回復しないため、さらなる休暇を求めています。
これに対して、会社=写経所の側は、「若し(もし)、病、息平(回復)せば、昼夜を避けず(昼夜を分かたずすぐに)、寺家(東大寺の写経所)に参向せよ。
敢えて姦滞せざれ(ぐずぐず家でとどまっていることがないように)」というように、休暇延長は認められましたが、病気が治ったらすぐに出勤するようにと念押しされています。
いつの世も、会社を休むのは大変です・・・。
みなさん、お体をご自愛くださいませ。