権限委譲と丸投げの違いは紙一重です。丸投げは部下のモチベーションに多大な悪影響を及ぼします。両者の大きな違いをご理解いただくため、丸投げになるポイント3点をお伝えいたします。
■判断基準を明示しない
判断の拠り所(原理原則)を明示し、要相談となる場合(マネージャー判断となる場合)を教えておくことで、部下は「やってみよう」という気がおきます。これらの判断基準が明示されなければ、任せられた部下は進めようがありません。ただ「やっといて」と頼むのは、責任放棄です。
■業務内容や部下の判断を把握していない
権限委譲とは、部下に対して一段高いハードルを課すことです。部下にとっては不安との格闘の始まりでもあります。程度の差こそありますが、部下からしてみれば、最初のうちはマネージャーから気にかけて欲しい、フォローして欲しいと思っているものです。そのような状況下で、任せきり、フォローもなしでは、丸投げされたと思わないほうが不自然です。部下にホウ・レン・ソウを徹底させることはもちろんですが、マネージャー自身が自分から聞いてあげることで、部下は安心し、トラブルを避けることができます。
■責任を取らない
権限委譲を行ったとはいえ、仕事の責任を負うのはマネージャーです。まずそれを示すことも大事ですが、実際に何かトラブルが起きた際には、いち早くマネージャーが対応を行い、部下を安心させることが重要です。これによって、部下のパフォーマンスは著しく向上します(返報性原則が大きく働く)。そして、どこに問題があったのか、いかに再発を防止するかを一緒に考えることが大切です。逆に、トラブルについて詰問をするだけでは部下は必ず離反します。
上記のような丸投げをすると、ほぼ間違いなく部下の不満の元凶となります。部下は不満を黙って抱えることはありません。必ず部下同士でそれを共有します。最悪の場合、「無責任マネージャー」「逃げ腰マネージャー」のレッテルを貼られ、統率が効かなくなってしまいます。