■考えあぐねる管理職、考えあぐねるその部下
私は研修や営業を通し、こんな声をいくつかの組織の管理職から耳に
します。
「経営層が具体的な方向性を示してこないので、動くに動けない」
「中期経営計画で全体的な施策は示されているけれど、結局何が重点
施策なのかが分からない」
「グローバル化・収益構造の改善・シェア拡大とか、今年の経営戦略の
キーワードはわかるが、会社として具体的に何をするのか?が見えて
こない。」
実はほとんどの組織の管理職が同様のことを考えているのかもしれま
せん。一方で、管理職の部下はこう思っています。
「うちの上司は『会社が方針を示してくれないから、とりあえず』が口癖
だ」「部門の方針っていうけど、会社の経営方針を違う言葉で言い換え
ただけで、結局どう動けばいいかが分からない」
この現象は今、日本の多くの組織が置かれている現状を顕著に表して
います。
■多くの経営層がどこでならば勝てるのかを考えあぐねている
市場が成長し続けていた時代の経営方針はシンプルで、「とにかく頑
張れ」とだけ言えば、現場は動くことができました。
しかし、現状多くの組織が置かれている市場は衰退しているか、停滞し
ているかのいずれか。
その中で多くの経営層が「当社はどこでならば勝てるのか?」を
考えあぐねているように思います。
そして残念ながらこの状況は一過性のものではなく、今後も継続する
と思われます。
■管理職の役割~「我が社・我が部門がいかにして利益を上げるか?」
そんな中で、管理職に求められる役割とは一体何なのでしょうか?
シンプルにいえば、組織の成果を最大化することです。ではそのため
にやることは何でしょうか? 部下を育てること、PDCAで目標を管理
すること、徹底的に業務改善をすること、リスクをマネジメントすること?
これらは組織として成果を上げるために必ず求められることです。
ただ、現状多くの組織が置かれている環境を鑑みると、それだけでは
決定的に足りないものがあるように思われます。それは、「いかにして
我が社が、あるいは我が部門が収益・利益を上げるか?」を考える力、
つまり適切な戦略を立てる力です。
■ミドル層が自ら考え、動くことができる組織
なぜ管理職自らが適切な戦略を立てる力が必要になっているかと言い
ますと、それは上で見た通り、会社が明確な方針を示せなくなっている
からです。だからこそ、従来通りのトップダウン型組織ではなく、会社の
ミドル層が自ら考え、動くことができるミドルアップ・ミドルダウン型の組
織を目指す必要があるのです。
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方