■親爺の変遷
親爺といえば、以前は恐ろしい一例とされていました。とはいうものの
現在では恐ろしいものという認識はほとんどなくなりました。オヤジギ
ャグというくらいですから若者からは軽く扱われているようです。
確かに、私の子供の頃の一目置かれた親父の存在は、かけらも残っ
ていないかもしれません。ものわかりの良い親父が多くなってきました。
■日本型リーダー~親爺の復権
ところで、親爺という言葉には自分の父親という意味の他に、部下がそ
の集団の長を親しんでいう場合があります。中小企業では社長のこと
を「うちの親爺は頑固一徹なところがあるが、義理と人情の固まりなん
だ」というのが代表的な使い方です。
もっとも、年商数兆円のスズキの社長は「俺は、中小企業のおやじ」と
言ってはばかりません。同名の本があります。トップ自ら、中小企業で
あることを徹底的に自覚しているからこそ言えると思います。自ら工場
の現場に赴き、コスト削減をトップダウンで行う点、見事です。
このような親爺こそ、日本型リーダーにふさわしいかもしれません。
■ちりも積もれば山となるか?~1円を大事にする
では、いったい日本型リーダーの親爺の行動パターンはどういう点に特
徴があるのでしょうか?
鈴木社長がよく強調していることに「1円を大事にする」という点がありま
す。「1円単位、10銭単位のコスト削減が会社の収益を左右する」という
わけです。クルマ1台あたりの利益が3万円だとしても、部品が3万点あ
れば1部品あたりの利益は1円です。そこで、1部品あたりのコストダウ
ンが会社の収益を左右するというわけです。
そのうえで、重要なのは、社員にもわかる言葉と、できると思わせる数
字で説明するのが肝心のようです。そうでないとムリな目標に思われ
るからです。
例えば、会社全体で数百億円コスト削減という目標を掲げるだけではダ
メで、クルマの1部品についてコスト削減50銭を目指すというのでないと
現場は動かないということです。
この点で、自然のちりは積もれば山となるかもしれませんが、人為的な
ものは、しくみ・しかけが必要だということです。小さな善意も大きな善意
になるのには、考えられたしくみ・しかけが不可欠というわけです。
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方