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できる係長になるために―係長の役割考―(2)

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できる係長になるために―係長の役割考―(2)


◇上林 憲雄氏(Norio Kambayashi)◇

  英国ウォーリック大学経営大学院ドクタープログラム修了後、
2005年神戸大学大学院経営学研究科教授、経営学博士。
専攻は人的資源管理、経営組織。

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前回のメルマガで,課長や部長になってからではなく,年齢的に若くて頭が柔軟な係長時代にこそ戦略的に重要な「コンセプチュアル・スキル」の思考訓練を行うべきということを述べました。

今回はその続稿です。

■係長の職務の変化

かつて日本的経営がもてはやされた時代の係長と違い,昨今の係長はこなさないといけない仕事が多々あり,その内容も多岐にわたるようになっています。その大きな要因となったのが,いささか旧聞に属しますが,情報技術(IT)の発達です。


■IT導入による影響

今から15年ほど前になりますが,私はITの発達が日本企業の中間管理職の職務をどのように変化させているかを調査したことがあります。調査前に私が立てていた仮説は,「日本の中間管理職はかつてよりも,ITを用いることで,(1)より多くの職務に従事するようになっている(2)管理的業務よりも高度な(戦略的な)業務に携わるように変化してきているというものでした。しかし,調査結果はこの仮説どおりではあり
ませんでした。


■種々雑多な仕事が飛躍的に増加

確かに(1)の仮説のように,ITの導入によって,中間管理職従事者はかつてよりも遙かに多くの職務に従事していることは実証されました。インタビュー調査から「以前の2倍近い仕事量になった」と話してくれた係長さんも居られました。

このように,多種多様な職務に就いていることはわかったのですが,係長より上位職である課長や部長層の仕事が下りてきて,高度に戦略的な業務の数が増えたかというと,結果はそうではなかったのです。

実際には,相変わらず(言葉は良くないのですが)誰でもできそうな"雑務"や他部署との"調整業務"(・・・これは見方によっては重要な職務ですが)が大半で,そうした職務の分量が飛躍的に増大した,というのが実態だったのです。

〔このあたりの事情の詳細は,『柔構造組織パラダイム序説』(文眞堂,1994年)という書物に掲載されていますので, ご関心のある向きはご一読下さい。〕
 
☆続きは次週、お楽しみに!


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