【日本企業にMBAは役立つか?(1)】
日本企業にMBAは役立つか?(1)
◇上林 憲雄氏(Norio Kambayashi)◇
英国ウォーリック大学経営大学院ドクタープログラム修了後、
2005年神戸大学大学院経営学研究科教授、経営学博士。
専攻は人的資源管理、経営組織。
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■MBAとは
いわゆるバブル経済が崩壊した1990年代以降,日本においてもMBAという資格に大きな関心が集まりました。
周知のように,MBAとはMaster of Business Administration の略称で「経営学修士」とも訳されます。
より具体的には,企業経営を科学的に分析し経営実践に役立てる目的で設立された,大学院での高等教育課程を修了すれば得られる資格のことです。
■アメリカで発祥し認知された資格
プラグマティズムの伝統があり,何ごとにおいても実益を重視する文化特性をもつアメリカでは,ビジネススクールでの学修が事業を成功させる上での重要な手段であると位置づけられます。
1881年のウォートンスクールを皮切りに,1908年のハーバード・ビジネススクールなど,多くのビジネススクールが設立され,現在に至っています。
MBAを取得することが将来的に企業幹部になるうえで要件の一つとされ,MBAは社会的にも認知された重要な資格です。
■日本では"開店休業状態"の大学も
これに対し我が国では,2003年に文部科学省が従来の研究中心の大学院課程とは別に「専門職学位」課程を設置したことを契機に,ビジネススクールの開設が相次ぎました。
しかし,日本の多くのビジネススクールでは実員が定員を下回っており,せっかくコースは開いたものの学生が集まらない「開店休業状態」に近い大学も多いのが実情です。
日本のMBAはアメリカほどの人気がありません。
それだけ,まだMBAという資格が日本社会に認知がされていないことの裏返しであるとも言えるでしょう。
日本社会で十分にMBAが資格として認知されていないのには理由があります。
それは,端的に言ってしまうと「資格を転職に活かす」という発想が,未だ日本においては認められにくいためです。
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