キーワードで知る!コンサルの「眼」

 【4】

キーワードで知る!コンサルの「眼」

MBAで得られる最大の収穫とは

4 【日本におけるMBA教育を考える】

MBAで得られる最大の収穫とは

■MBAを学ぶことの現実

私が勤務している神戸大学では,大半の受講生がMBAコースに入学する前に経営戦略や人的資源管理,会計,ファイナンス,テクノロジー・マネジメントなどMBAの主要領域で企業経営に必要な一通りの理論や知識を学習し,それを実際の企業経営にフィードバックして実務に活かすことを期待しているようです。

しかし,授業で習った理論がそのまま当てはめて解ける問題など,現実には滅多に存在しないのです。現実の企業における実務上の1つ1つの問題には,その背後に実に多種多様な要因が複雑な形で絡み合っていて,そう単純には教科書に出ている理論を当てはめることなどできません。


■理論は「役立たない」ことがわかる!

理論や知識がダイレクトに実践に役立つことが少ないとすれば,大枚を叩いてMBAスクールに通い,身につけられるのはどういったことなのでしょうか? 
―その問いに対する私の答は,ずばり「(これまで自分が考えてきたような)単純な一筋縄では決して問題は解決しない」ことがわかる,ということです。あるいは,1つの問題に対するアプローチも複数あり,どれが優れた解決法であるかは,その論者や立場によって主張がまちまちで,唯一最善の解決策は存在しないことが理解できる,ということと言ってもいいかも知れません。要は「簡単には解決できない」ことがわかるのです。


■自社の常識は非常識!?

神戸大学のMBAでは,10数名程度の比較的少人数のゼミで,ディスカッションをしながら,最終的には学位論文を書き上げることが最終目標となります。受講生は,ゼミでの経験を通じて,1つの問題であっても実に多種多様な物事のとらえ方があり,自社では当たり前だと信じて疑いを挟まなかった社内常識や職務命令を相対化し,客観視することができるようになること,換言すれば自分の頭で考えられるようになることが,MBAで得られるべき最大の収穫といっていいでしょう。決して「MBAに行けば,我が社の問題の解決策を手っ取り早く教えてもらえる」わけではないので,要注意です。

なお,経営学の大御所H.ミンツバーグも,文脈は違いますがMBA取得者が会社に与える影響について述べています(池村千秋訳『MBAが会社を滅ぼす』日経BP社)。興味のある方にはご一読をお勧めします。


☆次週もお楽しみに!

おすすめ研修



各種コラム

人材育成関連

  • 人材育成ノウハウ ins-pedia
  • 人事・労務に関する重要語辞典 人事・労務キーワード集
  • 人気のメルマガをWEBでもお届け Insouce Letter
  • インソースアーカイブス
  • 全力Q&A インソースの事業・サービスについてとことん丁寧にご説明します
  • インソース 時代に挑む
  • 全力ケーススタディ 研修テーマ別の各業界・職種向けケース一覧
  • 新入社員研修を成功させる10のポイント
  • 研修受講体験記 研修見聞録
  • 人事担当者30のお悩み

仕事のスキルアップ

  • 上司が唸る書き方シリーズ ビジネス文書作成のポイントと文例集
  • はたらコラム はたらく人への面白記事まとめました
  • クレーム対応の勘所
  • 人事のお役立ちニュース

銀子シリーズ

  • 七十代社員の人生録 銀子の一筆
  • シルバー就業日記 銀子とマチ子
  • 人気研修で川柳 銀子の一句

開催中の無料セミナー

  • WEBins
  • モンシャン