■エピソード
私はある企業の関連会社で、課長として勤務しています。今年、
本社から、一回り年配の部長が出向してきました。部長は過去に
本社でいくつも難しい案件をこなしてきたという自負があり、いろいろと
助言してくださいます。ただ、地方の小さな会社と都心の大企業の
本社では仕事の進め方が異なりますし、正直なところ、本社の慣習を
貫かれるのではなく、関連会社ならではの事情や営業手法について
理解していただきたいと思っています。
部長の心象を害さず、我々の意見や要望を伝えるにはどのように進言
すれば良いのでしょうか。(「悩み多き中間管理職」課長)
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│体験談: 巧みな同行依頼で、上司のスキルと売り上げもアップ!
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自分の所属する営業所に、新しい営業所長が就任されました。
その方は本社の別部署から異動でいらっしゃり、営業所特有の
ルールや現場の営業方法の詳細について詳しくご存知ではありま
せんでした。しかし営業所長は、本社施策の新商品(サービス)や
販売方法が市場ニーズとずれている部分がないかを確認し、
本社に対して進言する役割をお持ちでした。
そこで、顧客タイプ毎の営業方法をご理解いただくために、同行営業
をお願いしました。初めは、営業スタイルが異なるため、拒否反応を
示されましたが、繰り返しお願いすることで承諾いただきました。顧客
には新しい責任者を紹介するという名目を掲げ、新所長には自分の
営業方法を見てもらうということを目的に行動しました。
その結果、新しい営業所長に現場での雰囲気やアプローチ方法、
フローを体感していただけました。その結果、本社に対する施策の
再検討依頼や独自の提案等について、うまく説明していただける
ようになり、営業所での売上向上(予算達成)という目的も果たす
ことができました。同行依頼を通じて、実質的に「進言」を実現した
好例だと思います。
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│解決策: 相手を立てつつ、具体的な論拠を挙げて提言する
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私の場合はうまくいきましたが、役職の上位の方に対して、現場
での経験年数では上回っている自分が、どの程度、助言、提言を
すべきかは判断に悩むところです。
それは、役職や年齢が上の方は、自分より仕事のスキルが上
だったり、仕事の独自の方法やフローを体得していらっしゃる
場合が多いからです。
しかし、「やりにくい」「言いにくい」からといって、言うべきことを
何も言わないのは問題です。
特に、組織の理念や目標をかんがみて、上司の方がさらにスキル
アップする必要があり、かつその助言を自分ができる場合は、進言
する必要があります。
進言の手順としては、結論(していただきたいこと)をまず示します。
その進言を承認してもらうためには、「納得できる根拠」が必要です。
根拠は、数字による裏づけや図解によって、具体的に説明されて
いると説得力が増すでしょう。
また、この時重要なのは、上司に「自分自身の判断で」部下の意見を
取り入れたと感じていただくことです。
上司の方にもプライドがありますから、「部下に進言された」「面子が
つぶれた」と思われてしまうと、頑なになってしまう恐れがあります。
しかし、現場で育まれてきた方法やフローを体感していただきながら、
上司自身の判断をあおぐ形で説明すれば、上司は「自分自身が判断
・決定したのだ」と感じることができます。
上司を立てる進言方法を工夫すれば、結局は、部下である自分の
提案を取り入れていただけるのです。