■ユーザーの意見はよく聞き、要望を疑う
<K氏の発言>
『今回のシステムに、何を機能として盛り込むのかについて、ユーザーの話しを聞いたり調査することは重要ですが、ユーザーの言うことを丸呑みしてはいけないと考えます。
ユーザーから意見を聞いた後、それらを「並べて」、こちら側の事務処理の量も考慮に入れて、システムを整合させる必要があります。
その上で、ユーザーから出た要望をシステム化してもいいのか?ということを考えます。
やる意味がない場合はもちろんですが、やった方がよくても、工数がかかる割に、さほど効果が出ないない場合も、ユーザーの要望を取り入れない場合があります。工数=コストですから、結局はお客さまのためになりません。
それが「ユーザーの意見はよく聞き、要望を疑う」という意味です。
お客さまの要望を軽くみるという意味ではありません。
つまり、お客さまの要望を実運用フェーズに時間を早めて、シュミレーションできるかどうかがカギを握るということ。
そのためには、お客さまの業務に精通していなければなりません。
優秀なSEとは、開発力だけが優秀でもダメなんですね。』
■現実は複雑であることを忘れない
<K氏の発言>
『一般的に、実現しようとするシステムの対象(現実)は複雑です。
複雑だからこそ、システム化が必要なのです。
しかし、かつて未熟なころの私もそうでしたが、実力が伴わないうちは、現実シンプルに考えて、システムを構築してしまいます。
お客さまから頂いた情報や要望のみが、「現実」だと勘違いしてしまうからです。そうして、開発をし始めたシステムは、開発の途中でさまざまな「考慮漏れ」に気づき、機能をドンドン追加していき、シンプルな現実から作ったにもかかわらず、非常に複雑なシステムとなってしまいます。
それを回避するために、私はいつも現実を可能な限り複雑にとらえてから、システムの構築を考えます。
「複雑な現実をシンプル化する」これが、開発担当者に求められる第一の心構えと思います。』
以下、メルマガ作者コメント
上記の2つの金言、いかがでしたでしょうか?
開発の基礎をなす重要な心構えですね。
両者に共通するのは、「想像力」ではないでしょうか。
どれだけ詳細にリアルにお客さまの現実を追及できるか、これが開発担当者に腕の見せ所なんですね。そんな想像力を強化するために、私も若いころ、来る日も来る日も打鍵検証を任せてもらっていたのかと今になって思います。
要件定義書やテストケースパターン、SEはドキュメントだけではなく、現実、時には想像の世界も目にしながら、開発を進めないといけないのですね。
次回もお楽しみに。
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