IT系部下にはいろいろなタイプがいます。「全員が優秀ではない」のは当然ですが、多くの上司の頭を悩ませるのは「自立できない」部下です。このまま放っておいては、部下が育たず、「考えない技術者」になってしまうのも時間の問題です。
そんな「自立できないIT系部下」にはいろいろなタイプがいます。今日はタイプ別に指導するポイントについてお話します。
■「質問ばかりするタイプ」の対処法
一般的に、「自立できない」部下に代表されるのは、「どうしたらいいでしょうか?」と、質問ばかりする部下です。上司にとっては、そんな部下に振りまわされるのは、時間の無駄です。まずは、そのように自分で考えない部下には、「どうしたらいいと思う?」と聞き返してみることからはじめましょう。
少しでも考えることができたら、褒めましょう。正解でなくても、自分で考えることができる部下か、まったく考えが浮かばない部下かの違いは大きいものです。当面、足りない部分は補って仕事を進めていく必要がありますが、まずは「考える習慣づけ」をしていきます。
そのきっかけとして、上司が仕事を依頼する際には、理解させて行わせることが基本原則です。「何のために、この仕事を行うのか?」を説明し、仕事をする理由を教える事が重要です。「自分で理解して、考える」というステップを繰り返すことで、「考える」習慣が身につきます。徹底的に考えさせることで、自立心は生まれます。
■「失敗を極端に恐れているタイプ」の対処法
上司が仕事を依頼する際には、部下ひとりではなく、上司も含めて一緒にやるんだという雰囲気を作って安心させることが大切です。
失敗を恐れる部下が難しい問題に直面したら、その問題を引き取り、解決することで見本を示します。見本を示すだけでなく、実際に部下にやらせてみると成長を促進させます。ある程度、理解や経験を積めば、自分自身で考えて応用力をつけることができるものです。
また、失敗も早期であればあるほど、リカバリーも早くできることを理解させて、定期的に報告させるという方法が有効です。
■「失敗するまで一切報告しないタイプ」の対処法
自立できない部下の代表格は「質問ばかりするタイプ」ですが、中には「失敗するまで一切報告しないタイプ」もいます。後者は一見、自立心が強そうに見えますが、失敗してもなんとかなる、と根拠なく楽観的に考えているにすぎません。早期発見できていたら、たいした失敗ではなかったのに、取り返しがつかなくなった段階で上司に報告してくるという、恐ろしいことにならないよう注意しなくてはなりません。
そんなIT系部下が自立的に考えられるようにするには、定期的な「報告」が有効です。毎日17時、○曜日の8時30分など報告を受ける時間を決めることで指導を徹底でき、自然と考える習慣は定着します。まずは、行動を変えさせることから始めます。
このタイプの場合、本人に自覚がないケースがほとんどです。注意すべきなのは、単に「自立しなさい」と言うだけでは自分に対する攻撃であると感じ、反発心をあおります。定期的な「報告」の習慣をつけさせ、自分だけで仕事をしているのではない、と本人の意識を変えるだけで、充分に自立を促してあげることができます。
■部下の「自立心」を育てるために
このように、「自立できないIT系部下」にはいろいろなタイプがいますが、実は「考える習慣」と「報告の習慣」をつけさせることは、どんなタイプにも共通する必要事項です。
さらには「期待されている」という意識を持たせてあげることが大切です。重要な仕事を任されているという意識を持てば、仕事に対する意欲は自然に上がるものです。
自分自身で考えながら、仕事を行い、成功体験を生みだすことによって、「自立心」がぐんぐん育つことが期待できます。そのことは、本人だけでなく、組織全体にとっても、大きなメリットとなることは間違いありません。
☆次回もお楽しみに