■IT系組織における引き継ぎの注意点
システム開発などの作業の場合は、一人で完結する仕事はほぼありませんので、技術的な内容を引き継ぐことはもちろんですが、関係者とのコミュニケーションも確実に引き継ぐ必要があります。
関係者とのコミュニケーションが欠けてしまうと、その部分の仕事の進捗が遅延したり、進まなくなる場合もあり、結果的には上手く引き継げなかったということになってしまいます。
それから引き継ぐ内容については口頭ではなく、必ず文書にも残しましょう。そうすることで頭が整理され、内容の漏れも少なくなります。ただし「文書は残したから、後は任せた」というような、「丸投げ」には決してしないように注意しましょう。
■IT系組織における引き継ぎのポイント
1.手間を惜しまない
IT系においては、小さなミスが命取りとなるために、引き継ぎも慎重かつ丁寧に行われる必要があります。手間を惜しまず、できる仕事から少しずつ選び、仕事を理解させながら、丁寧に噛み砕いて教えることが大切です。
引き継ぎの基本は
(1)仕事の意味
(2)仕事の流れ
(3)具体的な行動
(4)品質水準
を伝えることです。
その際、最初の「手間を惜しまない」のが成功のポイントです。手間を惜しんで失敗すれば、何倍もの時間を無駄にすることになります。
2.定期的なアフターフォロー
部下に引き継いだからといって、仕事が終わったわけではありません。「不安」はまだ残っているはずです。不安解消のためには、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後などスケジュールを定めて、定期的にチェックすれば、リスクの発生を未然に防いだり、生じた新たな疑問を解消し、業務を安定的に運用することが可能になります。
そうして、引き継ぎ後のフォローやチェック体制を整えながら、少しずつ成果を出させる必要があります。
3.部下自身によるチェック体制を整える
自分自身でチェックすることは重要ですが、部下自身がチェックできるようにすることがポイントです。部下に自己チェック結果を定期的に報告させます(それが考え方の軸を作る早道です)。
■引き継ぎは成長のチャンス!
部下に引き継ぐ時点で、その部下と自分自身が小さなチームであるということを忘れないようにしましょう。当然、引き継がせるあなたがその小さなチームのリーダーです。トラブルなく引き継げたのなら、それは自分自身の引き継ぎ、ひいてはリーダーシップが良かったという証です。
最終的に引継ぎが上手く行けば、
・新たな仕事をすることができる
・新しいスキルを身につけることができる
・スキルの幅を広げることができる
・視野を広げることができる
などのメリットがあり、自分の成長と共に組織の成長が実現できるのです。
☆「IT系・理科系マネージャーのためのOJT講座」はこれをもって終了です。次の特集もお楽しみに!!