◇聞き手、◆研修ご担当者
◇毎年何人くらい新入社員を採用されているのですか?
《採用人数》
◆正直、その年その年によって人数にばらつきがあります。10名~40名くらいですね。当初の集合研修はほぼ1ヶ月、GW明けから現場配属、フォローアップは採用人数しだいによって、実施タイミングはその年によって、多少変わります。
◇「新入社員」の研修で「これは」と力を込めていることはどんなことですか?
《現場で使えるスキルとコミュニケーション能力の育成》
◆「研修」というとどうしても新卒は「学校の延長」になってしまうんですよね。ですから「授業」の延長線にならない、「グループ討議」「議事録にまとめる」「報告・連絡をする」というような「仕事の現場」で使うスキル、ビジネスコミュニケーション部分には非常に思い入れがあります。
◇インソースのビジネス基礎研修はその辺、力を入れているところですね。それから業務知識に関しては、お客様に対するサービスのクォリティを考えれば当然必須ですから、商品知識などのペーパーテストをします。この辺りは「学校っぽい」ですけれどね。
《学校と会社のテストの違い》
◆でもテストをやるから無理やりでも勉強するし、テストをやらないと結果があいまいなんですよ。
努力をした新入社員、1回目のテストから2回目に飛躍的に伸びた新入社員をほめることができる。明白な数字をベースに。学校はがんばっても、がんばらなくても「個人の自由」というところがありますが、「企業に属する」ということは「求められるスピードで走る」ってことですから、やらなきゃダメなんだということを"知る"のです。
◇一番恐れていることは、どんなことでしょうか。
《「研修」と「現場」のギャップ~現代っ子の問題点》
◆「新入社員」とは、内定期間から採用担当者を通じて、あるいはある程度接点が持てる機会を作って、その年その年の「傾向」をつかみながらやっていくことが可能なのですが・・・。
いや、「可能になるように手が打てる」というのが真実ですね。
正直な話、研修を終えて「いざ、現場」となった際の「ギャップ」が最も怖いですね。現代っ子は「無いです」とは言えるけれども「どこに行けばありますか」という質問はできない。「全部整っているところに」「迎えられて」入るのに馴れていますから、上司・先輩は少々腹が立つ。
《研修でのすりこみ》
◆新入社員にしてみれば、研修でやったこと「そのまま」で良いことは実は少なくて、優先順位や現場の状況で変わることが多々ある。
でも「生まれてきたひな鳥は、はじめて見るものを親と思う」というすりこみ理論がありますよね。
それとまったく同じように初めて入った会社のルールが「世の中のあたりまえ」だと、新入社員達は良い意味でも悪い意味でも受け止めます。
《先輩社員の力》
◆新人のOJT指導の上でこの点が最も注意すべきこと、重要なことだと先輩社員に伝えています。当然、指導者側も自分自身を律していなければ新人もそっぽを向きます。本来、新入社員にかける体力と同様に「OJT指導者」への教育に力をかけたいです。研修担当者がどんなにがんばるより、尻拭いしてくれる「職場の先輩」の力は絶大なんですよ。本当に大事にしてもらった記憶のある社員は、いずれ後輩大事にすることができる。「若手社員の転職流行り」と言われて久しいですが、つなぎとめるより「ここで働き続けたい」と思ってもらいたいです。
◇フォローアップ研修はどのようになさいますか?
《感情や経験の共有》
◆こちらもグループワーク主体の集合研修ですね。「告白、赤っ恥!」「これまでに遭遇した仕事上の体験」などテーマはいろいろです。悩みも失敗も、同期は同じように感じていることを知ったり、「どうやって解決したか」を共有する。講師側からも少しアドバイスという、心理的な負担を軽減させる意味では好評ですね。
◇最後に「社員教育」に対するモットーをお聞かせください。
《勇気・緊張・愛》
◆もちろん制約もありますから、「手厚く」やるにも限りがあります。でも惰性でなく「変化させる勇気」と「緊張」と、社員に対する「愛情」でしょうか。少し恥ずかしいですね。
◇いえいえ、心の声が読者に響きます。貴重なお時間をありがとうございました。
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