「最近の新入社員の文書はひどい!」
このような言葉を人事担当者の方からよく聞きます。
確かに、携帯メールの普及のせいか、最近の新入社員の文書には、主語が抜けていたり、自分の感想ばかりだったり、仕事にふさわしい体をなしていないものが多く見受けられます。
中には、「文書なんて書けなくても仕事をできる人はできる」と考えている方もいるでしょう。これは決して間違いではありません。
しかし、「書く」ことが上手にできれば、結果的に報告能力や仕事の手順の効率化など、業務遂行能力の向上にもつながります。
結局、文書作成は仕事の基本となります。
■「ビジネス文書は相手の立場に立って書く」を教える
特に中途採用社員については、それまでのキャリアで確立してきた自分なりの仕事流儀があるので、自社のビジョンにすぐ同化してくれるとは限りません。これがビジョンや理念浸透のネックになることは、成長企業には特によくあることです。
ビジネス文書は、自分の「言いたいこと」を書くものではありません。 あくまでも、相手の立場に立ち、相手が読みやすい内容を書くことが求められます。 この点をまず理解させてください。
一般的にビジネス文書は、部下から目上の方に提出されることが大半です。 そこで、みなさんがどのように文章を読んでいるかを部下に教えると効果的です。
こんな風に読まれているのではないでしょうか?
(1)まず、「表題」を読んで、「案件」の内容をおおまかにつかむとともに、 その案件の優先順位や重要度を見極める。
(2)次に最初の2~3行をざっと読んで、内容が理解でき、読む価値がある内容かどうかを判断する。
(3)最後に、精読する。しかし、あまり長い文章だと、読むのを中止し、部下を呼ぶ。精読し始めるまで、"約1分間"というところではないでしょうか。
部下の方にも、このような社長の文章の読み方を知ってもらい、 これに合わせて文章を作成するように指導します。 まず、この流れを理解させる事で社長の手間はずいぶんと省けます。
■分かりやすい文章を書くポイント
小学生の時に書いた作文のように、思いつくままに書かれた文章に接する事があります。
子どもだったら許されますが、ビジネスにおいては失格です。 では、どういった文章が求められているのでしょうか?
さきほども言ったように、ビジネス文書は、当然、「読み手」が読んで すぐに分かるような構成でなければなりません。
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(1)文章構成は、「表題」⇒「結論」⇒「理由」の構成で
まず、文書は、
1.数秒で内容が分かる「表題」、
2.10秒で分かる「結論」、
3.その後30秒で「理由」が分かる内容であることがベストです。
(2)まず、分量は200字程度にまとめ、
一文50字程度で書く事を徹底する。
1分程度の短い時間で内容が分かるようにするためには、 文章全体で200字程度、一文は40~50字程度で書かれているのが理想です。
実際、仕事の報告を1分間で実施している場面を想像してください。 だいたい報告は、結論と理由が3つ程度で構成されていますから、 50字×4つで合計200字程度になります。
200字でまとめる事ができれば、文書力が向上するだけでなく、 同時に報告・説明力も向上させる事ができます。
実際の指導としては、長い文章を分割して、1文を短くするのが有効です。 また、音読させて、読みづらいかどうかをチェックするのも有効です。
(3)求められる文書の内容
~「主語」「述語」が明確。具体的な数値が入っている
ビジネスでは、「立場」、「行動」、「要求」が重要になります。 「誰」が「何」をしたのか?(求めているのか?)によって、 自分の取るべき行動が決まってくるからです。
また、ビジネスは基本的には感覚などの「抽象的」な世界ではなく、金額、数量、時間、固有名詞などの「具体的」な世界です。
よって、「具体的な内容」が文章に必ず入っている必要があります。 さらに、内容に関しては、自分の立場を踏まえ、合理的な内容になっていることが基本です。
この場合、合理的な内容とは、ある意味「利益」や「損失」などを踏まえた内容になっているということです。
・売上げ(収益)の拡大、減少に関係した内容か?
・大きな意味でコストアップ・ダウン、ロスの発生・防止に関係した内容