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◇上林憲雄 教授◇
英国ウォーリック大学経営大学院ドクタープログラム修了後、
2005年神戸大学大学院経営学研究科教授、経営学博士。
専攻は人的資源管理、経営組織。
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■昨今の学生の傾向と短期的思考の及ぼす影響
私は大学で教えていますが、最近の学生さんは、当たり前だということができない、こういう方が増えてきていると思います。
実は、ある学会で、プレゼンをする人が20分の制限時間でしゃべりすぎないように、18分くらいのところで鳴らしなさい、と学生さんに頼んだようです。
でも発表者が予定より早く16分で終わったため、次のスピーカーが続けて話し始めました。
しかし、その学生さんはそれでも18分でチーンと鐘を鳴らしたようです。
これは、つまり、なぜ自分が鐘を鳴らすのかという意味がわかっていないんです。
まぁ、これは笑い話みたいなんですけど。でも、指示の意味を考えようとしない、というのは、言われたことすらできないということになるんですね。
現実にそういう学生が増えているんですが、本当はそういう人材を育ててはいけないんですね。
もう一つ昨今の学生の特徴をいいますと、物事の間の関係を考えるのがすごく苦手になっているようです。
関係、コネクション、リレーションシップですね。物事の間の関係を考えようとしたら、深くそのつながりというのを考えなければならない。
私の方は、これさっき言っていたこととどういう風に関係するんだ、と学生にしつこく聞くんですが、学生の方はそれに答えられない。
むしろ、関係なんていうことを聞いてくれるな、とけげんな顔をしますね。さっきやったことはもう終わったんだ、と。
もう、その瞬間、その瞬間で生きているわけですね。ただ、ビジネスをしていくうえで、おそらく、それだけではいかんだろう、と私は思います。
論理的な思考というのは、実はMBAでも重要なものです。それをどう身に付けるのか、ということが問題ですね。
で、これはあくまで私の持論なんですが、最近、世の中では、短期決済思考というのが根底に流れていると思うんです。
これは単に経営学的な問題ではなく、社会全体の問題と考えるべきなのかもしれませんが、
どうも最近は何でも短期、短期で、短く考えるようになってきてしまっている。
もう少し余裕を持って、長期的な視野で考えるべきところが増えてきているんじゃないかなと思います。
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