■新人・若手の不安のもとを理解する
新人や若手にとって、不安のもとは不慣れな「仕事」と「人間関係」です。「初めての仕事」や「人間関係」にうまく自分を合わせていけるだろうか、ということに不安を抱いています。OJTトレーナーは、新人・若手のそのような心理状態を十分に理解しておくことが不可欠です。
○「初めての仕事」に対する不安
「覚えなければならないことがいっぱいある・・・」
「全く経験したことの無い仕事だけど大丈夫だろうか・・・」
「こんな重責を担う仕事が、自分に務まるだろうか・・・」
「想像していた仕事と大きく違っていたらどうしよう・・・」
○「人間関係」に対する不安
「こんなにたくさんの人の顔と名前を覚えられるだろうか・・・」
「職場のみんなに自分のことを受け入れてもらえるだろうか・・・」
「年齢の離れた人たちとの接し方がよくわからない・・・」
「あまり叱られた経験がないので厳しい先輩や上司だったらどうしよう・・・」
■OJT(On the Job Training)を理解する
OJTとは、実際に部下や後輩に現場で仕事をさせながら、その時の理解度や気持ちを随時把握しつつ、その場で的確な指導を行う人材育成手法のことです。
若い人材の育成における課題は、仕事の仕方を覚えてもらうことと同時に、現場で考えて動ける「自立した人間」に育てあげることです。
そのためにはまず、上司・先輩にあたるOJTトレーナー自身がOJTの目的と意義を理解し、組織としての方針と連動した一貫性のあるOJTを行うことが求められます。
■OJTに期待されるもの(1)「実務能力」を習得させる
OJTという育成手段を採用する理由としてまずあげられるのが、「実務能力をつけさせる上で優れている」という点です。OJTの基本的な指導スタイルである「やって見せる」→「やらせてみる」→「フォローする」というプロセスが、初心者を短期間に即戦力へと育てる上で効果的に作用します。
■OJTに期待されるもの(2)「考え方の軸」を確立させる
さらに、OJTに期待されるものとして、「仕事に対する考え方を伝えること」があげられます。
OJTでは、上司・先輩から部下・後輩へと具体的な仕事のやり方を伝えると同時に、その仕事をする上での考え方もあわせて伝えることが求められます。
OJTを通じて部下・後輩の中に「考え方の軸」が確立できれば、その後ひとりで仕事をするようになってからも、判断に迷ったり、大きく間違った行動をとることが少なくなります。
また、「考え方の軸」を持つことで、自分なりに仕事のやり方を創意工夫することもできるようになり、自立して行動することのできる人材へと成長させることができます。
OJTトレーナーにとっては、自分自身がこの「考え方の軸」を正しく理解した上でOJTを進めることが不可欠です。