そろそろ、来年4月に入社する新入社員の教育方針をめぐって意見が交わされている時期ではないでしょうか。
毎年多くの新入社員研修を実施するインソースでも、2011年4月から実施した「新入社員研修2011」の結果を振り返る機会がありましたので、そこで得られた驚くべき事実についてお話をさせて下さい。
■奇妙な程の自立志向
ここ数年でインソースが気がついた、新人の特性に関する事実。それは、新入社員の課題として毎年取り上げられる
「社会人としての自覚が足りない」
「自分の頭で考えない」
「気が利かない」
こういったご意見に疑問を投げかける結果となりました。予想とは裏腹に、
「先輩より自立している新人が多い」
という見解が増えているのです。
この傾向は、特に2009年以降に就職活動を経験した世代とその上の世代(入社3年目以降)とを隔てる根本的な違いであり、インソースの新入社員にも共通して見られた特性なのです。
彼らの「奇妙な程の自立志向」には、彼らを取り巻く環境が強い影響を及ぼしているものと考えられます。
■その「自立志向」はどこからきたのか?
彼らは会社にあまり期待していないのです(というより、期待したくともできないのです)。
給与や待遇についても、不平不満を口にすることがありません。入社直後から貯蓄に励み老後に備えるなど、若くして老成している若手も少なくありません。
一体、なぜなのでしょうか? 主な理由を挙げてみます。
・親のリストラや就職難など、厳しい現実を目の当たりにしている
・正規/非正規などの雇用問題に直面し、「滑り落ちたくない」という意識が強い
・景気低迷、株価下落、円高など。マスコミが流す悪いニュースに慣れている
・震災などの変化も体感し、経済的な危機感を抱いている
いかがでしょうか。「ゆとり世代」「草食系」など、マスコミが盛んに広めていた若者像は、既に過去のものかもしれないのです。
■そんな新人に先輩ができること
しかし一方で、仕事に打ち込む彼らの危うさも垣間見えます。
周囲とぶつかる事を恐れ、表面的に身につけたマナーだけで、組織を動かす大きな仕事ができるでしょうか。
会社に期待せず、超然とした態度で自分の職務に閉じこもるのは、自立ではなく孤立ではないでしょうか。
新人が無邪気に夢を語り、先輩である皆さんが支えるという過去の光景は今後は望めないのでしょうか。
基本的なことはよくできる新人も、育成を怠れば小さくまとまってしまいます。そうなれば、会社を使ってチャレンジしたり、本気で仕事にぶつかったり、周りを巻き込んで成果を出し、自己の成長を実感する機会を得ることができなくなってしまいます。
マニュアル通りの基本動作はできても、自らの意思で組織を動かす応用ができるかどうかは、やはり皆さまのサポートが不可欠なのです。
枠にはめ、「ゆとり世代をたたき直す」という考え方だけでなく、組織で働くことの面白さを語り、先輩がそれをやってみせる。つまり、背中で語るということが必要ではないでしょうか。
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方