OJTをより効果的かつ組織的に推進するためには、OJTを行うトレーナーだけでなく、そのマネジメントを行う監督者など全てのOJT関係者の意識強化を図る必要があります。
そして、OJT監督者は組織の方針に基づく育成方針のもとで、OJTを通じ、トレーナーとトレーニー双方のレベルアップを図ることが求められているのです。
■育成方針を明確にする
人材育成の方針は、組織の運営方針と軸が揃っていなければなりません。OJT監督者が、まず、組織の進むべき方向性を理解し、組織としての育成方針を明確した上でそれをOJTトレーナーに伝え、部下・後輩の育成に携わらせることが大切です。
OJT監督者はOJTトレーナーと同様に、人材育成における重要なるプレイヤーです。
ただ、OJT監督者自身が部下・後輩一人ひとりに直接指導することはなかなかできません。
よって、OJTトレーナーへの指導がその活動の中心となります。
もちろん、OJTトレーナーを介しながらであっても、部下・後輩一人ひとりの成長を考え、主体的に育成活動に関与することが重要であることはいうまでもありません。
OJTトレーナーにとって、部下・後輩の育成指導はリーダーとしての仕事を覚えるチャンスでもあります。
OJT監督者は、部下・後輩指導の支援を通じてOJTトレーナーに「仕事の進め方」や「リーダーシップの発揮の仕方」などを伝え、リーダーとしてのスキルを身につけるための支援を行います。
■育成計画を立てる
具体的にOJTを進めるための計画を立てていきます。
育成計画は、直接部下・後輩に対して指導を行うOJTトレーナーと一緒に作成します。
この時、OJT監督者には、「育成方針の認識」→「目標の設定」→「目標達成のためのスキルの洗い出し」→「スキルの習得方法の検討」→「スケジュール化」という、育成計画を作るにあたっての一連の流れを踏まえて作業を進めることが求められます。
(1)目標を決める
・明瞭な目標
漠然とした目標ではOJTトレーナーとの意識統一はできません。目標を設定する際には「何を(目標項目)」「いつまでに(期間、時点)」「どの水準に(目標値)」もっていくのかを明瞭に決めることが必要です。
・レベルにあった目標
目標を高く持つことは大切ですが、能力や人材の育成レベルを無視した非現実的な目標設定をしても、達成することは困難で、指導を受ける部下・後輩はもちろん、OJTトレーナーのモチベーションも下げてしまうことになりかねません。
逆に低すぎる目標では張り合いがなくなり、達成時の喜びも半減してしまいます。
最初の目標は、精一杯頑張れば何とか達成できそうなくらいのレベルに設定することがポイントです。
・具体的で計測可能な目標
できたかできていないかが明確に判断できるような目標にします。
誰が見ても同じ理解が得られるようにするためには、目標を「数値化」するのが一番です。
また、数値で目標を設定しておけば、現状とのギャップも測定しやすく、対策を打ちやすくなります。