プレゼンは「業務知識+一般常識+伝える技法」であり、「相手に話を
理解させ、賛同を得る事」が目的です。
◇前回のケーススタディ
───「ケース1:市庁舎建替えに関する住民説明会」────┓
はじめて市民説明会を任されたAさん。懸命に資料を作り、
自分なりにシミュレーションもした。準備万全のつもりで、
いざ会場へ。しかし、緊張で顔はこわばり、手も震えがち。
市民の顔もまともに見られず、黙々と分厚い資料を読む・・・。
発表途中で、市民からは野次が飛び、場内は険悪なムードに。
さて、こんなときどうすればよいか。
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前回は住民を主役とし、来場者に配慮した資料を準備するところから、
聴衆に配慮して、聴く環境を快適にするところまでお伝えいたしました。
さて今週はいよいよプレゼンのスタートです!
■プレゼン開始~笑顔、方言などで「われわれ」の関係を構築すること
住民説明会などのプレゼンテーションでは、いきなり本題に入るのは
得策でありません。まず、話者と聴衆の間の関係作りが必要です。
具体的には、にこやかな笑顔(絶対笑顔で!)で、本題とは少し
それた話、例えば自分と地域の関係などを先に述べて、「あなた」と
「私」の関係を近づける努力が必要です。
親近感が増せば、「この人の話を(好意的に)聞いてやろう」という
意識が高まります。方言、同郷意識などを活用すべきです。地域の
言葉は効果的です。無理に標準語で話をする必要はありません。
冷ややかな状況を「あっためる」にはまず、「われわれ」という意識づくり
からです。
例えば、「お寒い中、ご来場誠にありがとうございます。寒いときは
遠慮なく、おっしゃってくださいね。私の父もここの地域出身なんです。
子供のころよく来ましてね。」というように、人として相手に配慮した
内容、地域と自分のつながりを自分の言葉と笑顔を交えて伝えます。
■こちらの話を理解してもらう工夫をすること
以下は、プレゼン資料を作る際にも重要です。
あわせて考慮してください。
(1)専門用語、業界用語、カタカナ禁止
「専門用語」を使う際は要注意です。話を聞いて「楽しい」とは、
話の内容が無理なく「わかる」事です。「わからない」と「つまらない」
のです。よって、専門用語、カタカナ語は、原則使わないで話します。
もし、どうしても使わざるを得ない場合は、「ひらがなことば」で
補足説明します。
(2)資料の取り扱いをナビゲートしながら、ゆっくりとしたスピードで話す
聴衆は、自分の話を聴くのが今日「はじめて」という事実を忘れては
いけません。また、ページをめくるなど、資料の取り扱いにも当然慣れて
いないので、話すスピードは資料を目で追うスピードにあわせて、比較的
ゆっくり話しましょう。
(3)話す分量は資料の4分の1程度にすること
「順を追って、淡々と」資料を全部読まれては、聴衆も退屈です。
だいたい、資料を読むスピードは耳で聞くスピードの4~5倍ですから、
資料は4分の1程度読むだけで十分です。読んでいく際にも、書いて
あるままではなく、少し短く言い換えて伝えると、話が頭に
入りやすくなります。
(4)話す際の最大のポイントは「目線」と「笑顔」
40字に一度目線を上げ、首を左右に振りながら話すのがポイント
です。「うつむきながら」話してしまっては、せっかくのプレゼン準備が
水の泡です。弊社で実施しているプレゼン研修の中でも、一点凝視で
話したり、目線が資料から全く上がらないなど、「目線のトラブル」を
かかえている受講者が実に多いものです。
これが信頼感を失い、プレゼンをつまらないものにする最大の元凶です。
正しい方法は、聴衆全てと目線を合わせる様に話しかけることです。
そうする事で聴衆の興味を引き、信頼を得る事ができます。
具体的には、目線を左右にするより、首を左右に振るように意識して
話すとカンタンです。
加えて言いますと、目線を上げる(聴衆を見る)と、自然と口が閉じ、
丁度良い間が作れます。40~50字話すたびに一度顔を上げて、
聴衆を見るようにすると、話が分かりやすく、信頼感も高まります。
その際、聴衆に向けた顔は「笑顔」であるべきです。
その理由は言うまでもないでしょう。
実際、自分がそんな風に他の人に映っているとは想像できない
ものです。ですから、一度、ビデオカメラで自分のプレゼンを撮影し、
チェックしてみる事をお勧めします。
■「具体的なメリット」を「組織の代表として切々と」語ること
「住民メリットが分からない」。こう言われてはつらいですね。
「良く考えれば、住民のみなさんもメリットがわかるはずだ!」とか
「住民は考えが足りない」と考えてはいけません。聴衆の賛同を
いただくには、メリットを3点程度、具体的に、最初に伝えるべきです。
その際、「組織の論理」、「法律が理由」などを強調しないことです。
あくまで、住民メリットを具体的な数値で訴えることが必要です。
「将来地震が起きたら困る」より、「市庁舎が地震で倒壊しては、
被災者の救援が遅れ、この町での死傷者が100名増えてしまう」
という様な数値化した説得が必要です。
加えて、この話を分かっていただこうという「熱意」が重要です。
組織の代表として、熱意を自分の言葉で語る姿勢が聴衆の心を
打ちます。
次回は、ケース2「残業時間削減に関する緊急庁内会議」について、
お知らせいたします。どうぞご期待ください。
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方