ビジネス文書が、宛先に直接渡ることはまれです。文書も、特に
大事な文書ほど、業務フローの一環として取扱うのが、ビジネスマン
としての常識です。
ここでは、ビジネス文書の作業面のポイントについて説明します。
■社内文書の流れ
例えば、稟議書は、原案が直属の上司(例えば係長)に交付され、
チェックを受けます。その時点で、上司から何度も修正の指示を
受けてキャッチボールをすることが少なくありません。
また、その上司の上司(課長・部長など)からも、書き直しを
命じられることがあります。特に、文章に一家言のある部長や
課長がいますと、教育的指導を受けることがあります。
さらに、案件によっては、稟議書を関係部に配布しますので、
正式版を回付する前に、案を回覧しておき、賛否や意見を聞く
機会を設けるのが一般的です。職務分掌(権限と責任)によって、
関係部の承諾を得るものがあったときは、面倒になることが
ありますので注意を要します。
関係部と意思疎通ができていないとか、部長同士が仲が悪いと、
稟議で実現しようとしていることが、相当遅れたりします。
結構、ビジネス文書の道のりは険しいのです。
■社外文書の流れ
社内文書以上に、提案書やご案内状などの社外文書は、注意を
要します。今では、表現が適切かどうかのコンプライアンス・チェック
することは、当たり前になりました。
そのため、原案作成に10分程度しかかからなかったにも関わらず、
その文書がお客さまに渡るのに、10倍、いや100倍の時間を要する
ことがあります。場合によっては、賞味期限を失った提案書に
なったり、期限が切迫してとりあえず電話でお取引先に予約を
入れたりすることも珍しくありません。
■ビジネス文書の一生とそのポイント
以上からわかりますように、ビジネス文書が宛先に届くまでに
どのように流れ、どれだけ時間がかかるかをあらかじめ知っておくこと
が重要です。
そのためには、該当の文書をタイミングよく宛先に提出するための
期限を設定し、逆算して、仕事の予定を立てます。
そのうえ、ビジネス文書の宛名とその内容により、その重要度が
決まってきますので、自分だけでなく、最終の宛先にその文書が
到着するための作業時間がどのくらいかを見積ることが重要です。
期限や期間を考える際、休日や祝日を考慮に入れることを忘れたり
して、最後は突貫工事になることがしばしばあります。
最後に、事後処理も忘れないでください。稟議書の正本や
ご案内状の写しをファイリングすることです。通常、文書の種類に
よって分類して保存します。
会社のルールにより、一定期限を過ぎますと廃棄します。
社内ルールとして、6か月、1年、5年、10年、永久などの
期限を設けるのが普通です。
これが、ビジネス文書の一生の流れです。
以上、ビジネス文書の作業面について、期限を設定し、制限
時間内に文書を作成し宛先に交付する点と、そのためには、
組織として業務の流れを理解し作業化することが重要なことを
述べました。
「きみは営業に向いてない」
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