先週は、人材の育成に欠かせない権限委譲を機能させるためには、上司の積極的な関与が不可欠であるというお話を具体的にいたしました。今週はその続きです。
■権限委譲が進まない理由
権限委譲が進まない理由を考え、もし思い当たるところがあったら、権限委譲を機能させるために、対処方法を考えなければなりません。
(1)自分でやったほうが早くて確実
知識や経験が豊富な上司がやった方が早くて確実でしょう。しかし権限委譲は、部下に成長の機会を提供するものであるということを忘れてはいけません。スケジュール遅れや業務品質の低下がないよう、上司によるサポートをしっかりと行いながら部下に任せます。
(2)部下が未熟
任せたいのだが、部下が未熟で、怖くて任せられないということもあるでしょう。そこは権限委譲の範囲や上司のサポートの程度を調整することで、部下の能力に合った任せ方を見つけます。チームに対して権限委譲をして、チームで対応させるという方法もあります。未熟だからこそ、育てなければなりません。
■最後は我慢
上司による積極的な関与が不可欠だといっても、過剰な関与は、もちろんいけません。ひとこと言いたくなる、自分でやってしまいたく気持ちをぐっと抑えることが大切です。このことを見事に言い表した英語の表現があります。
The captain bites his tongue until it bleeds.
(船長は血が出るまで舌をかむ)
これは米国海軍で生まれた言葉で、不慣れな部下はなかなか思うように舵が切れないので、艦長はつい口を出して教えたくなる。しかしここで教えたのでは部下のためにならない。操舵法を身につけるには、失敗をしながら学んでゆくしかない。そう思って艦長は言いたくなるのを我慢している様子を言ったものです。権限委譲の要諦は「我慢」にあるようです。
☆次回もお楽しみに!
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