営業職「誰もやらない」101の秘策

 

営業職「誰もやらない」101の秘策

【最終話】「管理職と営業職」

【最終話】「管理職と営業職」

※バックナンバー
【第1話】「営業~お客さんと一緒に仕事を面白がる」 
【第2話】「交渉~海外大企業との契約に関するタフ・ネゴシエーション」
【第3話】「企画~アイデアを否定しない」

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           ◇今回のビジネスパーソン◇
       
           平野 茂実(Shigemi Hirano)

  大手電機会社や大手メーカーで、経理・営業職や新規企画の
  仕事に携わる。豊富な経験に基づき、現場ですぐに役立つ
  知識やノウハウを温和な話し口で語る。  

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


《管理職~自分の個性を活かしたマネジメント》

◇平野さんが考える、「管理職として必要なもの」を教えてください。

◆非常に厳しいことを言うようですが、"犠牲的精神"ですね。特に中間管理職は、職場のために、全力を上げて、働くしかありません。「部下と上司の間で犠牲になって死ぬ」(笑)くらいの覚悟は、中間管理職に必要だと思います。だから大変なんですよ、中間管理職って。

◆板ばさみになりまくるしかありません。板ばさみになりながらも、板と板が、ぶつかって壊れないように、からだをぐしゃっとつぶしてがんばるしかないという風に思っています。中間管理職って、プレゼンスというか、存在感を示しすぎちゃいけないと思います。

◇あと、部下に接するときの態度で注意すべき点とかはありますか?

◆自然体で接するしかないと思います。一般的に言われていることはいくらでもありますけれども、人の性格は変えられないので、自分の性格の良いところを出すような形で、部下に接するしかないように思います。

◇また、なかなか、部下全員と公平に接したり評価したりするのは難しいと思いますが、それを上手く行うやり方はありますか?

◆それはむずかしいですね。だから私は最初にこう言います。「僕は頭が悪いから、公平にできないかもしれない。だから何か足りないことや不満があれば言ってくれ」と。人間って、言わないと分からない。だから宣言しちゃえばいいんですよ。

◇今のお話はある意味、目からウロコですね。その一言が言えれば、かなり楽になる管理職の方も多いのではないかと・・・

◆その時は楽になりますが、ただ、そうやって「自分はこうだ」と言うことは、ある意味「板ばさみになる」宣言なんです。はっきりいって。「犠牲になります」って言っちゃったと同じです。
 
《IT版"犬猿の仲"~"営業"vs"SE"》

◇平野さんは、IT企業で営業をされていた時に、SEや開発エンジニアとのコミュニケーションで非常にご苦労をしたとお聞きしたんですが・・・

◆はい。どの会社でも、SEと営業は仲が悪いんですよ。これは保証します(笑)。

◆特にコンピュータメーカーでは、SEと営業は本当に仲が悪いのです。それはなぜかというと、当然ですが、営業はお客さんからどんなことをしても注文をとりたいと思っています。注文をとると、査定が上がってボーナスが増えますからね。それで、取ってきた仕事をSEに投げると、SEは仕事が増えます。SEは「仕事をこなして当然」と思われていますので、仕事が増えることで、ボーナスが増えるってことは基本的にあまりないんです。

◆どの会社でもだいたいそうです。たくさんシステムを作ったことで、評価されるかもしれませんが、SEはチームで動いているので、個人を数字で評価するのがなかなかむずかしいです。営業の場合は個人で「俺がとったー!」と言えますが。

◆「とにかくなんでもいいから注文とりたい営業」と、「あんまり難しい仕事を押し付けてくるなよ」というSEは、必然的に仲が悪くなります。その結果、両者のコミュニケーションのとり方も難しくなります。

◇開発エンジニアと営業はどうですか?

◆ここもケンカしますよ。SEと同じですね。そう考えると、営業と仲がいいところというのはないですね。基本的には。

◇SEはトラブルを起こさないというところが評価されるんですか?

◆そうです。やはり「仕事をちゃんとこなす」という部分です。営業がとってきた仕事を納期までに仕上げることが一番大切です。だから、たくさん注文をとってこられるとある意味で困るわけです。

◇相容れないですね。

◆本当に相容れない関係です。しかし、お客さんからたくさんお金(受注)をもらうという目的は、お互いに会社の中で共有しているので、ややこしいです。

◇両者の間がうまくいくような方法というのはあるんですか?

◆それが、本当にあればすごいですね。とてもお金になる研修になると思います。先ほども言いましたが、営業は注文を取ってくるだけ、SEはシステムを作るだけ。お互い文化が違うんです。違う文化を持つ者どうしで研修を受けさせて、お互いを理解させるという手もありますが、長続きはしません。一番良いのは、両者を物理的に近くに置くことだと思います。これは私の経験です。

◆フロアを分けてはいけないといことです。同じフロアにして、いつも顔をあわせるようにします。そうすると、お互いガンガン言い合うわけです。ただ、言い合いはするかもしれませんが、身近で営業の「注文とれたー!」という声を聞けば、やっぱりSEもうれしいんです。それとは逆に、SEの「納期間に合った~」という声を聞くと、営業もホッとします。そういうように、お互いを近づけて、「肌で理解させる」ことが大事なのではないかと思います。

◇SEとお客さんとの関係はどうですか?

◆最初は営業が一人でお客さんの所に行きますが、お客さんがむずかしい要求を出してくるとわからないので、SEを連れていきます。ところがSEはお客さんと向き合う機会が少ないので、お客さんが少しでも「今度こんなシステムを作りたいんだけど」と無理を言うと、「そんな無茶なこと言ったって、うまくいきっこないですよ」「今はそんなこと言ったって、ムダですよ」なんてことを言ってしまいます。

たしかにSEの言うことはもっともなんですが、営業はそれ聞くと、スーッと青くなるわけです。「他に言い方あるだろ!?」という感じで。そういう意味では、常にお客さんとコミュニケーションをとってる営業とそうでないSEとのギャップは、けっこう大きいです。

◆SEも外部の人と会う機会があることはあるんですが、とても忙しいので、営業に「一緒にお客さんの話きいてよ」なんて気軽に連れ出されるのがいやなんです。まあ、納期が明日でカリカリやってるところに、「今日の午後、ちょっとお客さんのところまで付き合ってくれない?」って言われた日には、プツっときちゃうということも理解できますが・・・

◆SEも、上司に「一緒に行ってやれよ」なんて言われたら、断れないこともあるでしょうから、不機嫌なままお客さんのところへ行くことになります。そうするとさっきみたいに、きついことをお客さんに言っちゃうんですね。

◇SEと開発エンジニアは喧嘩しないんですか?

◆しないことはないのですが、大きな喧嘩にはなりません。というのは、お互いに"技術語"で話しができるからです。細かい部分では文化が違うのですが、大きく見るとエンジニアという括りでは一緒です。例えばフランス語と日本語は全然通じないけれど、フランス語と英語とドイツ語は、単語や文法が似ている部分があるので「何を言っているのか全くわからない」ということはない。SEと開発エンジニアは同じ文化圏なんです。

◆ただ、面白いのが、同じヨーロッパでも、ドイツ、フランス、ベルギー、オーストリアなどたくさんの国があるように、エンジニアも、メカ(機械設計)担当と、エレキ(電気系)担当とでは多少文化が違います。

他にも、ソフトウエアや品質保証のエンジニアなども異なった雰囲気があります。エンジニアの中でも分野が違うと、「あの人、メカ屋だからね~」とか、「あいつら電気屋は~」とかいうように話すことがあります。

それは、営業からみると面白いですね。

゜:.*。・。+.゜・。゜.:。*゜・。.゜。:・+゜・。:゜・。゜.。゜・。+。゜・。゜.。゜・。

 
職業柄、SEと営業がなかよくなるのは難しいということがよくわかりました。。。フロアをいっしょにするというのは名案だと思いますが、実現させるのは、大きな会社だと、なかなか難しそうですね。

あとは、月並みだけど、納期後に打ち上げをする・・とか?

関係がよくなると、相乗効果で仕事のほうも上手くいきそうですし、提案だけでも、してみるといいかもしれません!

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