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◆北澤孝太郎氏◆
ソフトバンクテレコム株式会社・執行役員 音声事業本部長。数の実績・経験を踏まえ、独自の営業哲学をお持ちのスーパーセールスマン。
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◇QUESTION◇「NOと言われてからの起死回生策」
営業先から「NO」をもらってからの起死回生策は何かありますか?
◆ANSWER◆「ホンネを聞いて、抽象の梯子を架ける」
もし、営業先から「もう来なくてもいい」とか「お断りします」と言われたら、くじけてしまうこともあるでしょう。それでも上司から「絶対取って来い」と言われたら、僕はまずNOの流れを食い止めることに力を注ぎます。
強いトーンで断らても、お客様の興味のあるような話をぽんぽん投げてつなぎとめます。
そして、そのNOの流れが止まったら、必ずお客さんに本当の理由を聞くことです。どうして駄目なのか、その理由が分からない何にもできませんから。
で、そのときに、どうしても彼らがこだわりたい"MUST"の項目と、あったらいいなという"WANT"の項目とを確認します。よく、ここを混同して、感情だけでNOを言われているケースが多いんですね。
"MUST"の項目は満たせそうなのに、"WANT"の項目が違うのでNOと言われているのは実に勿体ないです。この項目を整理させ、納得してもらう手法は、営業の専門用語で、「抽象の梯子を架ける(抽象度を上げる)」というもので、いろいろあります。
「例えば僕はみかんが食べたい」とお客様が言ったとします。そうしたら、「あぁ、あの甘くて酸味のある果物ですね」と一度果物の話にしてしまう。
そして、「りんごも、酸味があっておいしいんですよ」と話をつなげます。もしもこのとき、お客様のMUST項目が、「甘くで酸味のあるもの」で、WANT項目が「みかん」だったらOKということです。
その一手間をかけずに、「みかんが食べたい」、じゃあ「りんごじゃ駄目ですか」というように、ストレートに他の選択肢をぶつけても駄目です。
お客様の本当の要望が確認できらたら、その実現が最大限叶えなれるまでその要望を抽象化してしまって、それを叶えるにはもっとこんな選択肢もあるよと示してあげることが大切ですね。
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◇QUESTION◇「お客様に潜在している情報を知りたい」
相手の思惑やニーズなど、言葉が出てこない点を探るとき、1番重きを置いている視点は何ですか
◆ANSWER◆「相手の弛緩している時間を狙う」
初めの商談の際には、お客さんの話が本音かどうかを探ることは難しいので、分からなくても、あまり気にしないようにしています。
では、いつ探るのか、ということになりますが、僕は「相手が弛緩している時間」を狙うようにしています
「刑事コロンボ」という映画をご存知ですよね。犯人が執拗に事実を隠しても、コロンボが、帰り際に「ところで」と聞くと、相手はぽろっと本音を言ってしまうシーンがあります。
これは、刑事が向かい合っているときにはいろんな偽装をしようと思って、緊張しているのですが、「じゃあ帰りますわ」といったときに心が緩んでしまうからなんですね。
お客さんの仕事が終わって気が緩んでいるところを狙って、僕はよく夕方に訪問に行きました。
昔は受付からオフィスが見える会社が多かったので、夕方行くと、普段は応接間できちんとしている人でも、タバコを吸ってたり、女性と喋ったりしていて、その人の"素の姿"を見ることができます。
そこでぱっと入っていって、「このたびはありがとうございます。こないだこんな話をしてましたけれど、本当はこうこうこうなんですかね」と聞くと、「いやそうなんだよ、聞いてくれよ」と本音が聞けることが多々ありました。
ですから、相手の気が緩んでいる時間を狙うというのは有効な方法の一つですね。
(つづく)
※次回は、「上手く取引きを行う"裏技"」「"営業"とは?」の内容でお届けします。