■海外で落語を公演する難しさ
-------------今までされてきたお仕事のお話から聞かせていただけますか?
◆8年ぐらい前から、国内だけではなく、海外でも落語の公演を行ってきました。
私の場合は、様々な国で、大阪弁のまま、字幕を使いながら公演をしています。
◆海外で落語を行うときには、その良さを理解していただくために
様々な問題があります。
◆日本の芸能として、能や歌舞伎、狂言は海外でも良く知られています。
これらの芸能は、言葉が通じなくても、日本独特の「様式美」や独特の宇宙観を
お客さまに感じていただくことができますが、
落語の場合は、やはり言葉で勝負する部分が大きいので、
その分、理解していただくのが大変です。
◆また、日本人は、海外で、夜遅くまで仕事をして冗談一つ言わないというような
「ワーク・ア・ホリック」(仕事馬鹿)な人種というイメージが強いので、
日本人とジョークが結びつかないということもあります。
◆さらに、笑いのスタイルとしても、外国でコメディというと、
スタンドアップコメディーが中心ですが、落語は座って行うので、
スタイル的にもなじみがない。
◆そのような中で、「日本の古典のコメディーです」という形で落語を紹介しても
なかなか外国人の想像の範疇を超えているため、食いつきが悪いです。
◆全く異質のコメディーということでも難しいのに、
加えて、「字幕で本当に笑えるんかい」という心配もある、と。
◆そのとっつきが良くないものを何とかできないか、ということで、
講演では、落語の噺に入る前に、枕で、字幕を使って
「落語では、扇子と手ぬぐいを使って、食べる仕草やいろいろなことを表現します」
というような簡単な落語入門講座をします。
◆また、上方落語では、物語の中で、三味線と太鼓を“はめもの”として
様々なシチュエーションで使います。
例えば、一番太鼓は寄席が開場した合図の太鼓で、お客さんがどんどん来るように、
「どんどんどんとこい」とたたきますが、そのような鳴り物解説も
スクリーンに楽器を映しながら、字幕の文字で説明をします。
◆これは、観客の方に字幕を読む練習も兼ねていて、
登場前から字幕を通じて落語の世界に入れるような空気を徐々に作っていきます。
◆これまで、ブロードウェイで3日間の講演をはじめ、現在まで10数カ国で
講演をしていますが、字幕でも日本と同じように笑い声が返ってきます。
会場にいる現地の日本人の方は、しゃべっている言葉が通じていないのに
なぜ笑っているんだろうと不思議そうですね。
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------------お客さんの雰囲気などを見極めるテクニックなどはありますか?
◆どのような場でもある程度通用する話しの「つかみ」みたいなものはありますが、
確実にどこでも当てはまるものはありませんね。
◆大阪の場合は東京の場合と違って、相手のことをくさして笑いにする所があります。
私も、捨て身技ではありますが、お客さんの雰囲気を見極めるために、
あえてブラックジョークを言って、どの程度まで許容されるかということを
確かめるということをします。
◆例えば、よくパーティの席で、落語を頼まれることがありますが、
会社のパーティだと男の方が参加していることが多いです。
そこに出て行って、「ほんまに、今日のお客さんはおっさんばっかりですね」と
言ってみることもあります。
◆全くスベッてしまってラインの見極めに失敗することもありますが、
逆に、それで笑っていただければ、この辺まで許容してくれるお客さんということで、
雰囲気をつかむことができます。
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■相手が「やられた」と思うポイントをつく
-----------------相手をほめる際に効果的な着目点などはありますか?
◆人間は、真ん中をつかれても、あまり心が動きませんが、
相手がそんなこと言われたことないというようなすみっこの所で不意をつかれると、
「ああやられた」と思います。
相手が「やられた」と思わせるポイントつけることができれば、
相手の心をつかんだということになります。
◆ネクタイをほめるということはよく言われていますが、
誰でも思うような普通のことでほめてもあまり効果はないと思います。
不意をついたり、あまり人が言わないような、
「やられた」と思わせるポイントをつけば、効果的なほめ方になると思います。
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「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方