【内気営業「中島」のマル秘営業テクニック】
内気営業「中島」のマル秘営業テクニック 【37】
「どの先輩の真似も無理だ......」と思ったとき、一人だけ、自分に近いものを感じた先輩がいました。企画開発部のY次長です(次長と言っても30才すぎ、独身です)。Yさんは以前、営業をしていましたが、今はコンサルティング部隊のリーダーです。通常営業には出ませんが、時々一緒に同行訪問をしてくれました。
私がYさんと一緒に訪問して感じたのは、「しっくりくる」ということでした。目指すならこういう感じがいい、と思えました。
Yさんの営業の様子を描写してみます。商談に入ってまず、雑談が一切ありません。席についた後、相手が話し始めない場合、すぐには話が始まりません。少し間を空けて仕事の話を切り出します。Yさんは、よくメモを作っています。自分用のときもありますし、打合せ内容をプリントアウトして相手に渡すときもあります。Yさんは、相手が資料を見ている間、「一切」話をしないです。お互い沈黙です。Yさんの声の出し方は、すごく大きいわけでも響くわけでもなく時々喉が詰まったように感じる(失礼)ときもあります。が、なんだかすごく自然体なかんじがします。
話をしたときの数少ない言葉が、端的でわかりやすく、要点を押さえているからこういうことができるんだな、と思います。私が知っている限り、相手の質問と違う内容を答えたことはありません。相手の知りたいポイントを丁寧に答えていくことで、サービス自体も良いものに見えてくるのがわかります。私は目指すなら、こういうのが良いな、と思いました。
一度こういうことがあると後は簡単です。つまずいたときは、「Yさんならどうするだろう」というのを考えてみれば良いのです。わからなければこっそり本人に聞いてみます。
また、上司に言われて「よくわからない」と思ったこともYさんに聞いて解決することは多かったです。(ただしYさんはこの通り言葉少ななので、質問をたくさんする必要があります)。
このようにして、Yさんのやり方を参考にしながら、自分のやり方を模索していきます。
実は、Y次長は当社コンサルティング部門のダルビッシュ選手の様なスーパーエースです。こんな形で出てくるとは思いませんでした。このエピソードから3点知って欲しいと思います。
まず、第一点として、資料に語らせると説明は楽ということです。資料の出来が良いと当然話さなくて良いですが、メモを作って説明するなど、よく準備をしている事が相手に分かればまたこちらの意欲や実力が明らかになり良いのです。
第二点として、お客様は内気な営業に寛容で、ある意味、内気営業を楽しんでくれるということです。営業行為というのはお客様にとって、エンターテイメントでもあります。実は、お客様は営業っぽい営業には飽き飽きしています。ですから、内気な営業が来て、あまりしゃべらないがやる気を見せていれば、「いったい何が出てくるかな?」と面白がり、いつも以上に注意深く聞いてくれるものです。さらに数少ない出てくる言葉が顧客ニーズにマッチしていれば、10話して、1しかニーズにあわないおしゃべり営業より、評価が高くなるのは当然です。
第三点として、自分と同じ気質で仕事のできる先輩を見つける事は、大きくスキルをアップする事ができます。見習いやすく、過去同じような悩みも持っているから相談しやすいものです。
ただ、Y次長は強烈に自己研鑽しています。私としては全社員がその仕事に対するスタンスを見習ってもらいたいものだと思っていますが。
「きみは営業に向いてない」
周りの人にさんざん言われていながら入社早々営業担当になってしまった中島が伝える、営業の頑張り方