■「アメリカでMBA取得・銀行に入行」
◇わたしは、1978年に、アメリカのカーネギーメロン大学でMBAを取得しました。そのころは、日本がまだまだ国際化していない時代で、大学でもほとんど日本人をみることはありませんでした。
また、為替レートも1ドル300円前後でした。私費留学であったため、親も仕送りが大変だったと思います。
◇私のアメリカ留学やMBA取得という経歴は当時としては大変珍しい経歴であったため、日本でそれが評価されるのかという不安があり、就職するのも難しいのではないかと思いました。しかし、国際化が間近に迫っている時代の流れを反映してか、どの会社もウェルカムの状態でした。
◇私は、どのような企業に就職するかということを考えた際に、幅広い業務を行える業種で仕事をしたい、また自分はそのようにできると判断し、三和銀行に入行しました。
三和では、営業、企画の仕事に携わったほか、海外勤務も経験し、銀行マンの最後は、執行役員人事部長に続いて、経営企画部長を拝命しました。その後、銀行役員を退任し、現在はコスモ石油の常勤監査役の仕事をしています。
■「自分の貴重な経験を体系的に整理する」
◇銀行では、支店長ポストに加え、本部で5つの部長職を経験しました。 "長"というポストに就くたびに、まさに背伸びの連続でした。ひとつひとつのポストを大事にし、どんな困難に直面しても、逃げずに、陣頭指揮をとることを信条にやってきました。
◇個々の困難の克服や成果の達成のひとつひとつが自分を成長させてくれました。また、どんなときにも自分を支えてくれた部下や上司に感謝しています。
◇銀行を離れて、ある程度時間が立つと、これまでの自分の貴重な経験を体系的に整理して発言したいと思うようになりました。そして、それを若い人のために役立てられないかという問題意識も強くなりました。
◇今年の9月に、『ランニングシャツを着ている田中部長はなぜ仕事ができないのか』という本を出しましたが、これはこのような問題意識に背中を押されてのことです。この本のタイトルは奇抜ですが、内容的には、プロ、その中でも特に、「Eプロ」("E"は「エグゼクティブ」の略で、役員・部長クラス)を目指すため、どのように取組むべきかを記したものです。
◇本書においては、私は、従来の「ケースから学ぶ」とか「役立つテクニック集」的な手法を否定し、プロが持つ"物の見方"や"考え方"を示すことに注力しました。それは、プロを目指すのに必要なものがプロとしてのセンスであり、マインドであるからであり、私はそうしたことをこの本で理解して欲しいと思いました。
◇自分はすでに若い人の育成に力を注ぐ立場であり、現時点では、この本を出版でき、大きな達成感を味わっています。