◇今回のビジネスパーソン◇
安藤 弘一(Hirokazu Ando)
『ランニングシャツを着ている田中部長はなぜ仕事ができないのか』の著者。 三和銀行・UFJホールディングを経て、現在はコスモ石油常勤監査役。
※バックナンバー
【第1話】「
私の仕事の歩み~アメリカでMBA取得→本の出版~」
※本編
◇私は6つの"長"という立場を経験した者として、リーダーという視点で "失敗"について語りたいと思います。
◇支店や部を預かれば、日々、多くの案件を同時並行的に処理しなければなりません。そのような状況のなかでは、もちろん数多くの失敗も経験しました。
◇ここで失敗のひとつひとつを説明しても、専門的なことが多く、あまり実りがないと思いますので、多くの失敗を経験したり、多くの失敗を見てきたものとして、リーダーとしての必要条件について話をしたいと思います。
◇目新しいことではありませんが、リーダーたる者、組織目標を必ず達成するという確固たる信念と覚悟が必要です。信念と覚悟がないと、プロジェクトは端から上手くいきません。
◇実際、リーダーの心構えのひとつでプロジェクトの成否が大きく左右されます。有能なリーダーであれば、あらゆる手段を尽くしてプロジェクトを成功に導くとともに、不幸にもプロジェクトが上手くいかない場合にも、PDCA(※1)が徹底され、内容の濃い情報が蓄積されています。また、この蓄積に基づいて、現下の戦略や施策を適切に見直すことができます。
◇ところが、選任されたリーダーが中途半端であると、このコストが高くつくことになります。実績が目標を下回っていても、適切な軌道修正が実施されていないばかりか、それに必要な情報も蓄積されていません。これではプロジェクトの進行に大幅な遅れが生じてしまいます。
(※1)PDCAとは、問題や課題を解決するための、Plan, Do, Check, Action の行動サイクルのことです。安藤氏は、著書『ランニングシャツを着ている田中部長はなぜ仕事ができないのか』の中で、この「PDCAサイクル」を含んだ、(1)問題発見プロセス(2)意思決定プロセス(3)実施プロセス=「PDCAサイクル」の3つを連結させた課題解決のための基本フレームを提示しています(54~57ページ)。