■日常業務と注意すべき業務
(1)日常業務は現場に権限委譲する
仕事は、標準化して定型化していくと「日常業務」になります。日常の業務については、チェックも含めて現場委譲し、管理職に判断を仰がないことで、時間と手間を少なくします。
(2)特に注意すべき業務は管理職や経営幹部が厳密に取り扱う
ただ、そこに載ってこない業務については、特に注意する必要があります。例えば、リスク管理や人事管理などの業務については、必ず複雑な手順を踏むようにしておけば、トラブル、リスクが減ります。そうしないと万が一トラブルがあった場合、10倍、100倍のコストがかかってしまう恐れがあります。すべての仕事を、同じように一律にチェックするのは非効率です。チェックの厳密さに「濃淡」をつけることで業務の量を減らすことができます。
■マニュアルづくりのポイント
(1)マニュアルはできるだけ少なく
マニュアルを作る場合は、なるべく量を少なく、すぐに全体を見られるものが好ましいでしょう。作る側は分量を多く作ったほうが満足しますが、ボリュームが多いと他の人に読まれませんし、重要なこともぼやけてしまいます。一度作ったものを3分の1ぐらいまでギュッと凝縮すると、よいマニュアルができると思います。マニュアルを凝縮させたほうがよい理由には、内容を削る過程で、重要なことがより明確になるということもあります。
(2)マニュアルは2種類用意
一番よいのは、概要がパッと分かる入り口的な「エッセンス・マニュアル」と、困った時に詳しく調べられる「辞書的なマニュアル」の、2種類のマニュアルが揃っていることです。また、マニュアルは、「通常業務」「特殊業務」で区分されています。「通常業務」のマニュアルは、新入社員にとってはありがたいものですが、だんだん仕事をするうちにいらなくなってしまいます。ですので、基本的にマニュアルは、「特殊業務」のものさえあれば十分です。
(3)マニュアル"レス"のすすめ
「通常業務」のマニュアルについては、仕事が正常に行われるために、ミスをしやすい所や重要な部分について、チェックリスト型のマニュアルがあれば良いでしょう。また、稟議書や報告書といった文書に、注意すべき項目を盛り込むと、マニュアルがいらなくなります。さらに、業務の中で複雑になっている部分を、なるべく普段の自然な動きで進められるようなフローにすれば、マニュアルは必要なくなります。マニュアルがなくても、業務が進められるようにすることも「業務改善」のひとつです。