■前回のまとめ
前回は「管理職の最大の役割はマネジメント」であるという考え方の下、管理職がマネジメントすべき事柄について少し検討しました。
一つは「業務マネジメント」、自部署の業務を「習慣計画表」に基づいてマネジメントすることで、業務の整理や棚卸、業務の中で考える癖づけができるとお話しました。
二つ目は、「人材マネジメント」です。
その要素として、
○部下の育成を行うこと
○部下の評価、査定を適切に行うこと
○部下のモチベーションを保つこと
の三つを挙げましたが、今回はこれらについて見ていきたいと思います。
■部下の育成からモチベーションの維持まで
部下の育成と評価、査定についてのポイントは、「業務目標」と「能力開発目標」を設定し、そのプロセスを月次でフォローしていくことです。
つまり、個人目標の「PDCA」を行うことであり、前述の業務マネジメントと、ほとんど変わりありません。
目標管理の目的は、上司の視点からは「部下の人材育成」になりますが、部下本人の視点に立てば、「成長実感」を持つことと言えます。
目標達成に向けて努力することが、成長をもたらしてくれるのであり、目標なきところに成長もありません。
部下本人が成長実感を持つことができるか否かは、本人のパフォーマンス、モチベーションに大きく影響を及ぼしますので、要注意です。
部下のモチベーションを維持することは、様々な要素が絡んでいるため、一筋縄にはいきません。そのポイントは、「部下をよく見てやること」に尽きます。
○常に部下の表情、顔色、言動に気を配り、アンテナを張っておくこと
○上司があまり気難しい表情をせずオープンな態度でいること
○目標管理をきちんと行い、自分の評価は明確に伝えること
○大勢に影響のない部下の失敗は大目に見てやること
(逆の場合は、きちんと叱ること)
○部下の強み、弱み、性格をきちんと把握すること
(人を見る眼力を養うこと)
○能力のある部下にはきちんと報いること(部下の'区別'は必要)
■三つ目のマネジメントは「リスクマネジメント」
三つ目は、「リスクマネジメント」です。
マネジャーは、普段の業務が忙しいがゆえに、リスクマネジメントをなおざりにしがちですが、常にリスクを念頭に置きながら、業務を遂行しなければなりません。
逆に言うと、リスクを考えられない人はマネジャーになってはいけません。リスクマネジメントのポイントを記します。
○業務の中でのリスクを洗い出すこと
○リスク、トラブルが発生したら、マネジャー自らが解決に当たること
(逃げないこと)
○悪い情報ほど早く伝えることを部下に徹底すること
(人に迷惑をかけたくないという思いで、自分だけで解決しようとする人がいるが、正しい問題解決手段としては全く逆)
○緊急連絡網を作成し、修正は発生するたびに全員で共有すること
(これは結構抑止効果あり)
■当たり前のことを当たり前に
以上、3つのマネジメントについて述べてきましたが、マネジメントの要諦はさほど難しくないと感じられたのではないでしょうか。
しかしながら、言葉で書かれたことを「認識」することは簡単ですが、それをきちんと「理解」し、自分の体の中に「血肉化」することは、簡単なことではありません。
そのためには、当たり前のことを当たり前に行うことができるように、当たり前のことを繰り返すこと以外にはありません。
読者の皆さまにおかれましては、このメールを参考にしていただきつつ、自分なりのマネジメントスタイルを確立していただきたいと思います。
☆この項終わり。次回もお楽しみに!
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