「管理職のためのホウ・レン・ソウ(1)」では、管理職が部下にどのようなホウレンソウをさせたらよいのかというポイントをお話しいたしましたが、
今回は、管理職が上司に対してどのようなホウレンソウをしなければならないのか、組織の中でどのような立ち居振る舞いをすべきなのかという視点で述べさせていただきます。
■管理職の上司は超多忙
管理職の上司と言えば、係長にとっては、課長、次長、部長、役員で、課長にとっては、次長、部長、役員ということになります。
ここでまずもって留意すべき点は、管理職は上に行けば行くほど、忙しくなるということです。部長、役員クラスとなると、役員会、部長会、案件会議、取引先訪問などで、過密なスケジュールとなっています。実務がないからといって、部下から出てくる稟議や案件を机に座って待っている訳ではありません。
そんな忙しい方々に上手くホウ・レン・ソウし、段取りが良くてデキル人と思われるには、それなりのコツがあるのです。
■スケジュールを予め押さえておく
当たり前のことですが、上司の机上のスケジュール表やパソコン上でのスケジューラーを小まめに確認する、あるいは秘書に確認するなど、大事なホウレンソウをするタイミングを押さえることです。
「そろそろ帰るぞ。」と部長、役員が言った途端に、「ちょっと待って下さい。」なんて言おうものなら、「何でこんなタイミングで言うんだ。タイミングが悪すぎる!」なんてことになりかねません。これだけで、段取りの悪い奴というレッテルを貼られてしまう可能性もあります。
■要点をつかんで簡潔明瞭にホウレンソウする
管理職クラスに求められる能力要件として、大きく2つ(ないしは3つ)あると、私は考えています。一つ目は「概念化能力」、二つ目に「対人関係能力」、3つ目をあえて挙げるとすれば、「実務遂行能力」です。
忙しい上司に対して、簡潔明瞭に文書が作成され、口頭でホウ・レン・ソウされるためには、「概念化能力」が具備されていなければダメです。一般社員が課長、係長にホウ・レン・ソウするのとは、訳が違うことを認識しなければなりません。ホウ・レン・ソウにおける概念化能力は、「要約力」と言い換えることができます。その際伝えたいポイントを、1分程度で説明できることが目安です。
この概念化能力は、管理職になって初めて身につける能力ではなく、管理職になる前には相応に習得しておかなければならない、社会人の必須能力であります。
■組織を動かす根回しが巧みである
一部署だけで完結する案件であれば、直属の上司とやりあっていれば十分ですが、管理職ともなると、複数の部署が関与する案件をまとめなければならないことも多々あります。
組織を動かすためには、組織内での事前の準備、ホウ・レン・ソウ=根回しは必要不可欠です。事前に何のコミュニケーションもなく、いきなり会議で検討、決議なんてほとんどありえないため、効率的な会議運営のためにも、事前の準備は当然必要になります。
根回しにおいて留意すべき点は、以下の点が挙げられます。
1.関与する組織を漏れなく挙げられる
管理職ともなると、自部署だけでなく、社内の各組織がどんな業務をや
っているのかは最低限知らないと、自分の仕事になりません。
2.他部署の担当者、キーパーソンとコミュニケーションが取れる
その上で、他部署の担当者、キーパーソンの人とコミュニケーションが
取れないと周囲の協力が得られません。
3.他部署(その担当者など)の業務の背景を知る
自分の都合だけで他人は動かない訳ですから、相手の都合もよく理解
してやらないといけません。
4.根回しの順序を間違えない。社内の人間関係に注意する
複数の部署に根回しする場合は、その順序が大切になる場合がありま
す。根回しの順序のせいで時間の浪費につながることが往々にして
起こるのも、組織の悲しい現実です。
5.上司の機嫌の良いときにホウレンソウする
上司の機嫌の良し悪しで、ホウレンソウの効果は大きく違います。急を
要しない案件のホウレンソウは、上司の機嫌の良い時に行ったほうが
得策です。
自分も管理職である立場ですので、改めてホウ・レン・ソウには気をつけねばと感じた次第です。
☆この項終わり。次回もお楽しみに!
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